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池田には……いや、池田にも人の気持ちを思いやるなんてことは皆無らしい。

遥香と同類だ。


「何のこと?」


はっ……?


遥香は、ワインを開けてという風に池田へ差し出しながら、首を傾げる。

これには私だけでなく、池田も一瞬驚いたようだったけれど、左手でワインを受け取りすぐにニヤリとした。

そして、テーブルの上のワインオープナーを右手で掴みながら座った。


「遥香、中学の通学電車で痴漢騒ぎを起こしただろ?」


冤罪事件と聞いただけでは思い出せないくらいなの?

忘れ去った記憶ってこと?

これは、今までで一番と言えるくらいのショックだ……


「ああ、そんなこともあったわね。あった、あった」

「やっと思い出したか」

「だって、もう10年以上前のことよ?私が中園になる前のことなんて、覚えているわけないでしょ?」


なんということか……


ポン……ッ……


ワインのコルクが抜かれた音に続いて


「遥香が痴漢に仕立て上げたのが、真奈美の父親だった」


池田の言葉が部屋に響く。


「はぁ?嘘でしょ?」

「ほんと」

「偶然?」

「さあ?でも真奈美は、遥香の起こした冤罪事件だと知っている」


池田は楽しそうにそう言うと、ふたつのワイングラスに白ワインを注いだ。

遥香は私をじーっと見てから池田の前に座ると


「真奈美は私に恨みがあるってことなの?」


と池田に聞く。


「どう思う?」

「私が質問したの」

「冤罪事件ってことは、真奈美の父親の無実は証明されたってことだから何も思っていないかもしれない」


そんな簡単なことじゃないわよ。


「でも、自分の父親を犯罪者に仕立てあげた遥香を恨んでいる可能性も当然ある」

「アハハッ…私、刺されるの?」


狂ってる……笑いながらテーブルの上の写真を撮った遥香は


「忘れた頃に刺されるなんて、まっぴらだわ。腹いせの企みがあって真奈美がここにいるなら、気味悪いわね。クビ」


とグラスを掲げた。


クビは困る……もう少しなのよ!


「底辺の人間に何が出来る?まあ、遥香がクビでいいならクビだな」

「何もできやしないでしょうけど、ここにいられちゃ、存在が気持ち悪いでしょ?」

「それじゃあ、真奈美のクビ決定に乾杯」

「乾杯っ!」


腹が立つ以上の焦りが湧きあがる。

クビはダメなのよ……もう少し。

私は両手でエプロンをクシャ……と握ると


「遥香様、企みなんてありません。私はここへ会社を通して派遣されました……」


と、遥香に訴える。


「転職して数か月ですので、クビなどと言われると会社にもいられるかどうか……今まで以上に働きますので、どうかクビにはしないでください。お願いします」

私は、魂が汚れたアナタの世話をする

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