ー大怪獣襲来。速やかに避難せよ②ー
某日夢主宅玄関先にて
糸師凛:
「床に這いつくばって何してんだ、テメェ。」
夢主、凛の声にビクッと肩を震わせ、
おずおずと顔を上げた。
夢主:
「こ、これはですね、
日本で最上級の謝意を示す非常に伝統的な
ポーズでして……その……」
(目を泳がせながら、必死に言い訳)
「い、糸師くん、怒ってるかなって思って……」
凛:
「怒ってねぇ。」
(ものすごく不機嫌そうな顔)
夢主(心の声):
「ハイ! 嘘! 絶対嘘!」
「怖い怖い怖い……なんでこんなに怒ってるの?」
夢主:
「い、いや、でも……怒って――」
凛:
「怒ってねぇっっ。」
余計に怒った!?
怖……こ、、殺されるぅうっっ
夢主:
「ひぃぃ……っ……。」
凛:
「なんで……… 何も言わずに帰った。」
夢主:
「そ、それは……その……。」
「糸師くん、し、試合終わりは忙しいだろうし……じゃ、邪魔したら悪いかなって……。」
(視線を逸らし、必死に取り繕う夢主)
「ドンッ」
いったい何が起こったのか、
一瞬、分からなかった。
反射的に視線を上げると
糸師くんの顔が至近距離にある。
夢主:
「きゃっ……!」
気づけば私は床に押し倒されていた。
(凛、胸ぐらを掴んでグイッと顔を近づける)
糸師凛:
「くだらねぇ取り繕い方すんな。 余計にイラつく。」
顔がさらに近づき、彼の息遣いを感じる距離感
近すぎて、
目を逸らすことが……できなくなった。
糸師凛:
「何で帰った。」
夢主:
「それは……その……。」
(どうしてだろう。自分でもなんで反射的に逃げてしまったのか、わからない。説明なんて……無理だよ。)
凛:
「答えろよ。」
(糸師くんの鋭い目が私を覗き込む。その視線だけで気まずさが跳ね上がる)
夢主:
「……っ、気持ち悪くなった……。」
凛:
「はぁ?」
(気持ち悪いって言われて、
少しショックを受ける凛)
夢主:
「い、糸師くんが……な、なんか知らない人みたいで……。あんまりにも……、サッカーしてる糸師くんが破壊的で……なんか綺麗で……。胸が苦しくなって……。その……居ても立ってもいられなくなっちゃって……。」
「……それに、急に遠い存在みたいに感じちゃって……そ、それで――」
糸師凛:
「もういい。くだらねぇ。」
(糸師くんは私の肩をつかんでいた手を離し、ため息混じりに言い放つ)
糸師凛:
「要するに、お前は俺に負けたってことだろ?」
「クソみたいな煽り方しやがって……ザマァねぇな。」
(勝ち誇った笑みを浮かべる凛)
凛:
「それに、お前と俺の距離なんて最初から変わってねぇだろ?……バカなんじゃねーの?」
(凛の笑顔。なんでそんな顔して笑うの……。)
その破壊的な笑顔が、
また、私の心臓に 雪を降らす。
胸がぎゅっと締め付けられる感覚が……
私を支配して……。
その切ない感覚がどうも落ち着かない。
(凛、立ち上がり)
糸師凛:
「おい、いつまでそうしてるつもりだ?立て。」
(ぐいっと手を引かれる)
夢主:
「わっ……。」
(ふと我に返る夢主)
夢主:
「あ、ありがと……。」
凛:
「ん。」
(無意識に微笑む凛)
(え……?)
夢主(心の声):
「あれ……?大怪獣様の……ご機嫌が直った……?」
「なぜに……?」
(自分の手を見つめながら、動揺が広がる夢主)
夢主:
「……え、怖い。」
あとがき
言い訳とかしても、絶対本能的に察知されて逆上しそうじゃないですか?
そうなると、絶対に物理に走ります。(確信)
しどうくんとのやりとりも、未遂ながら手でかけてましたし、きっと限界突破するまでは加減はできるタイプなんでしょうね。
ここは、無自覚の執着をテーマに書きました。
本人は全く執着してると、かけらも思ってない感じが伝わればいいなと。
あと、無自覚に笑ってしまっている凛くんを見たかったので、いれました。自給自足です。
勝ちか負けでしか、判断しない。
理性的にみえて、だれより脳筋ムーブを華麗にかましてくれると思います。
あと、噛み合ってるようで噛み合ってない、2人温度感の違いなんかも、楽しんでもらえたら嬉しいななんて思います。
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