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第四章:全部、お前の中に閉じ込めたい
それから、宇野は笑わなくなった。
授業中も、無表情で黒板を見てるだけ。
誰とも喋らないし、休み時間も俺の近くに来なくなった。
でも、俺は知ってる。
あいつのLINEの既読がつくのは、俺のだけ。
話しかけていいのは、俺だけ。
「お前、俺以外と喋るなって言ったよな」
誰もいないトイレの個室に、宇野を閉じ込めて言う。
俺の腕の中で、やつれた顔を隠すようにして黙る宇野。
「でも、アイツから話しかけてきたんだよ…!」
「関係ない。口、縫ってやろうか?」
「……っ、怖ぇな、お前」
「怖くていい。二度と、誰の名前も呼ぶな」
俺は宇野の口元に触れる。
その唇が震えてるのに、全身からは逃げない“甘え”が滲んでる。
「じゃあ、俺が誰かと喋ったら、お前どうすんの?」
「……殺す」
言葉に迷いなんかない。
宇野は苦笑いしてから、俺のシャツを掴んできた。
「やっぱお前、終わってんな…でも、それが一番気持ちいいって思ってる俺も、壊れてるよな」
⸻
放課後、俺の部屋。
鍵をかけて、カーテンを閉める。
宇野はそのベッドの上で、目を伏せたまま座ってた。
「今日、誰にも見られてない?」
「見られてねぇよ。安心しろよ、飼い主さん」
「嘘ついたら、わかるから」
「……ついてない。俺、今日一日、お前にしか返事してねぇ」
その言葉に、俺はようやく宇野を抱きしめた。
「いい子」
「……は?」
「お前みたいな不良が、俺に“飼われる”ってことが、どれだけ奇跡かわかってる?」
「わかんねぇよ、バカ」
でも、腕の中の宇野は、少しだけ甘えてるみたいだった。
俺の指が、そっと宇野の首元を撫でる。
「首輪、つけようか」
「……なに、マジで言ってんの?」
「欲しいんだろ?」
「……欲しい」