「あっ! 龍様!!」
「今日こそ逃さないから!」
「わたしの足からは逃げられませんよ!」
翌日。
龍之介はグラウンドに向かおうとしたが――すぐに3人に取り囲まれてしまった。
ミオ、アイリ、ノゾミの3人である。
「おお? ど、どうしたんだ?」
龍之介が戸惑う。
彼は普通に練習に向かおうとしていただけなのだが――どうしてここまで過剰に反応されるのだろうか?
「龍さん、今日こそはわたくしたちと一緒に練習してくださいまし!」
「某の未熟さ故、龍殿に無理をさせてしまったことは痛恨の極み。何卒、汚名返上の機会を頂きたいでござる!」
ユイとセツナまでもが合流し、龍之介に懇願した。
「えっ? いや……何の話だ?」
困惑する龍之介だが、5人は彼の答えを聞こうとはしない。
彼はそのままグラウンドへ連行されてしまう。
「龍様! 私と練習しましょう!!」
「ボクとだよ!」
「わたしとです!」
「ここはバッテリー間の連携が先ですわ! つまり、わたくしとです!」
「否! 最も新参の某に指導していただくことが有効でござろう!」
5人がそれぞれ、自分を選んでと詰め寄る。
「ちょ、ちょっと待ってくれ……! どうして皆、そんなに必死なんだ!?」
「それはもちろん、龍様がご不在で寂しかったからです!」
ミオがズバッと切り出す。
「ボクも……龍之介と練習したいと思ってるよ」
「某も、まだ未熟者故……」
「龍先輩、わたしを捨てないで……」
「黙っていなくなられたら……寂しいですわ……」
アイリ、セツナ、ノゾミ、ユイも続ける。
(そ、そうだったのか……)
龍之介は心の中で反省した。
5人を傷つけるつもりなどなかった。
先日の試合で負けたのは、自分の体力不足が最大の要因だと認識している。
そのため、試合後には皆との反省会もそこそこに、ひたすらに走り込みをしていたのだ。
今思えば、コミュニケーション不足は否めない。
「みんな、すまない……。俺が間違っていた。これからは、いつも通り皆で練習していこう」
そう言って、深々と頭を下げる龍之介。
5人はホッと胸を撫で下ろした。
そして、ユイが口を開く。
「それでは龍さん! これから一緒に練習を……」
「いや……まだダメだ!」
「……ええっ!? ど、どうしてですか!?」
ユイが問いかけると、龍之介は首を横に振った。
「練習の前に、現状の戦力を確認しておこうぜ。今のチーム状況をしっかりと把握しておかないと、有効な練習メニューを組めないからな」
「た、確かにそうですね……」
ミオが納得する。
桃色青春高校野球部の成長速度は、本当に凄まじい。
他の部活動でレギュラークラスだった面々であり、野球の練習をすればする程にグングンと成長しているのだ。
また、龍之介との間に存在する忠誠、友愛、感謝、信頼、共感などといった要素も、皆の成長速度を引き上げている。
「では、現状の把握に移ろう。ロボ1号。恒例のやつを頼む。俺たちの成長を言葉で表現してくれ。そして、現状の能力もな」
『ピピッ。承知しました。スキャンを始めます……』
龍之介から指示を受けたロボ1号が、6人の体をスキャンしていく。
彼らは、その分析結果を静かに待つ。
『ピピッ。スキャンが完了しました』
「よし。さっそく教えてくれ」
ロボ1号の報告に、龍之介が頷く。
先を促されたロボ1号は、報告を続けた。
『龍之介は【暑さ耐性】を取得した』
『龍之介は【尻上がり】を取得した』
『ミオのミートが上がった』
『アイリの守備力が上がった』
『ノゾミのパワーが上がった』
『ユイのミートが上がった』
『セツナの守備力が上がった』
「試合に破れたのは痛かったが……。成長は続いているな……」
龍之介は、ロボ1号の報告を受けてそう呟く。
そして、続けて報告された現状の能力を脳内の情報と合わせ、整理していく。
ロボの報告を元に整理しているだけで、最終的にはあくまで龍之介が認識しているデータ表である。
<個人データ>
龍之介
右投げ左打ち
ポジション:投手
最高球速135km 制球力C 持久力C 変化球D
ミートC パワーC 走塁力D 送球力D 守備力C
【煩悩の力】チームメイトに女子選手がいると能力アップ
【積極恋愛】恋愛に積極的になる
【夜の帝王】前*やセ**スの才能がある
【草刈り士】名前に『草・野・田・丘・原・地・山』のいずれかが入っている相手打者がパワーダウン
【暑さ耐性】高気温でも体力が奪われにくい
【貧乳ラブ】貧乳女子が打者のとき球速がアップ
【尻上がり】先発登板時、イニングが進むほど変化球のキレが良くなる
【走塁上手】ベースランニングが上手い
【絶対防壁】守備で機敏な動きを見せる
【愛情クロストレーニング・ミオ】全*で愛*されながら筋トレをするとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・アイリ】全*で愛*されながら乱取りをするとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・ノゾミ】全*でお互いに足をマッサージし合うとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・ユイ】半*でお互いに特定部位を掴みつつサーブ練習をするとパワーアップ
【愛情クロストレーニング・セツナ】半*に目隠しをした状態で剣道の練習をするとパワーアップ
【強敵スキルトレーニング・エル】下*姿でお互いの無駄*を処理し合うとパワーアップ
【強敵スキルトレーニング・ソフィ】共に犯罪者を取り押さえたり胸部をマッサージし合ったりするとパワーアップ
【強敵スキルトレーニング・不知火】共に体力トレーニングをし、尻を上げた状態で匂いを嗅ぎ合うとパワーアップ
ミオ
右投げ右打ち
ポジション:一塁手
本職:ウェイトリフティング部
ミートB パワーA 走塁力D 送球力C 守備力E
【忠誠の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極打法】積極的にスイングする
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*で愛*されながら筋トレをするとパワーアップ
アイリ
右投げ左打ち
ポジション:遊撃手
本職:合気道部
ミートF パワーD 走塁力B 送球力C 守備力A
【友愛の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極守備】積極的な守備を行う
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*で愛*されながら乱取りをするとパワーアップ
ノゾミ
右投げ左打ち
ポジション:中堅手
本職:陸上部
ミートD パワーE 走塁力A 送球力D 守備力C
【感謝の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【積極走塁】積極的な走塁を行う
【愛情クロストレーニング・龍之介】全*でお互いに足をマッサージし合うとパワーアップ
ユイ
右投げ右打ち
ポジション:捕手
本職:バレーボール部
ミートE パワーD 走塁力E 送球力A 守備力C
【信頼の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【キャノン】大砲のように強烈な送球を行う
【愛情クロストレーニング・龍之介】半*でお互いに特定部位を掴みつつサーブ練習をするとパワーアップ
セツナ
左投げ左打ち
ポジション:左翼手
本職:剣道部
ミートC パワーC 走塁力C 送球力D 守備力F
【共感の力】チームメイトに龍之介がいると能力アップ
【心剣流星】ボール球の見極めが上手い
【愛情クロストレーニング・龍之介】半*に目隠しをした状態で剣道の練習をするとパワーアップ
<ロボデータ>
ロボ0号 ミートF パワーF 走塁力G 送球力G 守備力G
ロボ1号 ミートF パワーG 走塁力F 送球力G 守備力G
ロボ2号 ミートF パワーG 走塁力G 送球力F 守備力G
ロボ3号 ミートF パワーG 走塁力G 送球力G 守備力F
ロボ4号 ミートG パワーF 走塁力F 送球力G 守備力G
ロボ5号 ミートG パワーF 走塁力G 送球力F 守備力G
ロボ6号 ミートG パワーF 走塁力G 送球力G 守備力F
ロボ7号 ミートG パワーG 走塁力F 送球力F 守備力G
ロボ8号 ミートG パワーG 走塁力F 送球力G 守備力F
ロボ9号 ミートG パワーG 走塁力G 送球力F 守備力F
<ベストオーダー>
1番中・ノゾミ・DEADC*
2番左・セツナ・CCCDF*
3番投・龍之介・CCDDC*
4番一・ミ オ・BADCE
5番捕・ユ イ・EDEAC
6番遊・アイリ・FDBCA*
7番右・ロボ0・FFGGG
8番三・ロボ9・GGGFF
9番二・ロボ8・GGFGF
*は左打者
投手・龍之介
最高球速135km 制球力C 持久力C 変化球D
ベンチ
ロボ1、ロボ2、ロボ3、ロボ4、ロボ5、ロボ6、ロボ7
チーム全体評価
打撃E 走塁D 守備D 投手C 控え選手G 総合力E
「今回の敗戦は痛かった。しかし、それを引きずるのは得策ではない。皆、切り替えはできているか?」
「私は大丈夫です! すぐにでも練習できます!!」
「某もでござる」
「わたしくも問題ありませんわ!」
ミオ、セツナ、ユイが頷く。
アイリとノゾミもやる気に満ち溢れている表情だ。
「よし! では、次の大会に向けて特訓だ! 練習の合間に秋季大会を見たり、冬合宿の計画を練ったりしていくぞ!!」
「「「「「おー!!」」」」」
6人の声がグラウンドに響き渡る。
こうして、桃色青春高校野球部は練習を開始したのだった。
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