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雷恐怖症ピーター

過去捏造してますので無理な方ブラウザバックお願いします









すこぶる天気が悪い日の事。

ピーターは悪い予感がしながらもパトロールをしていた。


(雨、降るかな…)


そう思ったのもつかの間、雨は直ぐに

降り始めあっという間に本降りになってしまった。


ピーターはビルに張り付いていたため、びしょ濡れになってしまった。

そして家に帰ろうとした。

が、雨の音に負けないくらい大きな女性の悲鳴が聞こえたので憂鬱な心に支配された身体を必死に動かし現場へと向かった。


到着し、雨で重くなったスーツを無視して辺りを見渡す。

場所は廃工場の倉庫内であった。

ピーターは扉を開けると同時に手首から糸を放った。

バシュ、と短い音を立てて糸が複数の男達を捕らえる。

男達は野太い雄叫びをあげてポケットに閉まっていたサバイバルナイフを取り出し、ピーターに放った。

ピーターはいとも容易くナイフを避けて捕まえきれなかった男を捕まえた。


縛られていた女性の縄を外して逃がしてやる

寸刻が経つと警察が慌てた様子でやって来てピーターに感謝状を送った。


変わり果てて静寂が訪れた倉庫内でピーターは横になり目を瞑っていた。

倉庫内には雨の心地良い音が響いており、ピーターは夢現だった。


1時間ほどそうしていただろうか、ピーターが気付いた時にはスーツごと身体は冷え切っており、所々雷鳴が鳴り響くようになっていた。

幼少期にあった出来事からピーターは雷が怖く、倉庫から出る事が出来なくなってしまった。


真っ暗な倉庫内に走る閃光に身を縮め、ゴロゴロと鳴る雷鳴に短く細い悲鳴を送る。


恐怖心で支配され、眼から零れ落ちた涙がスーツに滲む。

はぁ、はぁ、と息が上手くできず、ピーターは夢の中へと意識を飛ばした。






『ここ、どこ…?』

幼いピーターは1人で森の中へと迷い込んでいた。

森を彷徨うこと早2時間、豪雨が降り注ぎ雷鳴が轟き始めた。

時刻は午後18時、辺りは真っ暗で幼いピーターには辛い環境であった。


ピーターは涙でぐちゃぐちゃの顔を腕で拭いながら歩き続ける。

『うっ、ひぐっ、めいおばさ、』

大声で泣き喚くが猛烈な雨の音に遮られ自身でさえ声が聞こえない。

刹那、ピーターの真横に落雷した。

ガシャン、まるで硝子を割ったように辺りに木の破片が飛び散る。


先の尖った大きな木の破片がピーターの脚に刺さり、ピーターは座り込んでしまった。


『うっうぅおかぁさ、だれか、た、すけ…』

ピーターは痛みで正常に働かない脚に鞭を打ち、大きな木の洞穴へと潜った。

幼く高い声が響く洞穴。

ピーターは幼いながら死ぬのではないかと思い、更に涙を溢れさせた。

泣き疲れ、気付けば眠っていた。


すぅすぅと浅い寝息をするピーターにボコボコとした手が伸び、頭を優しく撫でて抱き上げた。


『んんぅ…っぅ…?』


『…ピーター、もう大丈夫』


その後無事にピーターを家に連れて帰り、男は姿を消した。






「スパイディ」

『…?』

「スパイディ、大丈夫だよ」


ピーターは頭上から降り注ぐ優しい言葉と頭を撫でる暖かい手で目が覚めた。

「ん…ぅ?」

まだ寝起きの頭で誰の膝に頭を乗せているのか、誰が撫でているのかを考えようとする。


そしてピーターは身体が冷え切っていることに気付き、くしゃみを1つ飛ばした。

「っくしゅ…」

「あ…スパイディ、起きた?」

自分を覗き込む赤と黒。

ピーターは驚き思い切り身体を起こした。


ゴチン!!鈍い音を立てて2人の頭は接触した

「いぃ〜ッッ!!!」

「ンゴブッ!!!」

2人して頭を押さえ、声にならない声を上げた。


寸刻後、ピーターは疑問をあげた。

「なんでデッドプールがここに?」


デッドプールは首を傾げて当たり前かのように言った。

「スパイディが俺ちゃんに助けを求めてる気がしたから」


ピーターは拍子抜けし、小言を言おうと口を開いた。

「あのねぇ…ひっ?!」


口を開いたが、特別大きな落雷に遮られてしまった。


そしてピーターは先程まで見ていた過去の出来事を思い出しすっかり怯えてしまった。


震える手で頭を抱え、既にびしょ濡れのスーツを涙で濡らす。

「っは、はぁ、は…たすけ…いた、い…」


塞がったはずの傷がズキズキと存在を主張する。


デッドプールも様子の可笑しいピーターに気が付き、お巫山戯無しで更に強くピーターを抱き締めた。

「ピーティ、大丈夫大丈夫。よしよし、」


幼子を寝かし付ける母親のように背中を摩り、額にキスの雨を降らせる。


ピーターはスーツの下の見開かせた目を少しずつ閉じ、また眠りに落ちてしまった。


すぅすぅと寝息を辺りに響かせるピーターを抱き締めながら思いを馳せる。


(ピーティ、小さい頃のお兄さんは俺ちゃんだって知らないのかな?それとも記憶がない?忘れられてるなんて俺ちゃん寂しいよ〜…)


今回は夢の中へと冒険するわけでもなくピーターはすぐに目を覚ました。


「…僕また寝てたのか」


頭を抱えて蹲るピーターにデッドプールが口を開いた。


「…ねぇ、もう夜の10時だよ?帰らなくていいの?」

問えばピーターはガバッと頭を上げ、帰る!と大きな声を倉庫に木霊させた。


そして倉庫から出ようとした時、ピーターは足を止めて振り返った。


「…覚えてたよ。ずっと!…ありがとね

…お、お兄さん!」



そう言い放って今度こそ振り返らずに出ようとする。

しかし走ってきていきなり抱きついたデッドプールに阻止された。

「…?!?!っな!!!」


「ピーティ、覚えててくれたんだ?嬉しい!

…あのね、こんな天気の時は俺ちゃんが迎えに行くからわかりやすい所に居てね」


ピーターは微笑み、頷いた。

そして今度こそ振り返らずに糸を放ち

夜の街へと飛び去った。


ぽつんと残ったデッドプールの表情は、

マスク越しでも分かるほど晴天のような笑顔だった。

スパイダーマン(ピーター)受け 短編

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