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いきませう
アメロシ 監禁
地雷の方はさようなら
ロシアが目を覚ましたとき、見慣れない天井が視界に広がった。いや、正確には見覚えがある——だが、それは自分の家ではなかった。
「……アメリカ?」
低く名前を呼ぶと、すぐに足音が近づく。扉が開き、現れたのは、いつもと同じように陽気な笑みを浮かべたアメリカだった。ただ、その瞳の奥には、どこか狂気じみた光が宿っている。
「Goodmorning ロシア! やっと起きたな」
「……ここはどこだ?」
「俺の家。ロシアのために特別に部屋を用意したんだ」
ロシアは静かに状況を整理した。手足は自由だが、部屋には鍵がかけられている。窓は分厚いカーテンで覆われ、外の景色は見えない。
「……どういうつもりだ、アメリカ?」
「決まってんだろ。ロシアが俺から離れようとするから、もう離れられないようにした」
アメリカは軽い調子で言うが、その青い瞳は鋭くロシアを見つめている。
「お前、俺のこと好きなんだろ?」
「……」
「だったらいいじゃん。ここにずっといれば、俺たちはずっと一緒だ」
ロシアはアメリカを見つめ返す。昔から彼の愛情が重いことは知っていた。だが、まさかここまでとは——。
「ふざけるな」
「ふざけてないさ。俺はずっと本気だよ」
アメリカはベッドの端に腰を下ろし、ロシアの手を取る。その手はいつもより熱く、力強かった。
「お前が俺を好きだって言えないの、知ってる。でも、もう言葉なんていらないよな? こうして俺のそばにいれば、何も言わなくてもいい」
ロシアは息を詰まらせる。アメリカは冗談を言っているわけじゃない。これは本気の愛——いや、狂気だ。
「……お前は、俺を閉じ込めて満足か?」
「満足だね。やっとロシアを独り占めできる」
アメリカの指がロシアの頬を撫でる。その熱に当てられるように、ロシアの胸がざわついた。
おそらく、この扉は力づくでも破れない。抵抗すれば、アメリカはさらに厳しく監視するだろう。
(……どうする?)
ロシアはゆっくりと瞳を閉じ、深く息を吸った。
「……俺が、お前を好きだと言ったら?」
アメリカの動きが止まる。ロシアは薄く笑い、ゆっくりとアメリカの手を握り返した。
「お前が望む言葉を、聞かせてやる」
その瞬間、アメリカの笑みがさらに深くなる。青い瞳が輝き、ロシアをますます逃れられない檻へと閉じ込めていくのを、ロシアは確かに感じた——。