テラーノベル
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ゴールデンウィークの連休中のある日の午後、晶子は最寄り駅から3駅離れた大きな街のショッピングモールにいた。
参考書などを買ったついでにランジェリーショップに向かっていると、偶然カンナに会った。
「よう、晶子、買い物か?」
飾り気のないデニム地ではあったが、膝上15センチはあろうかというミニスカートを履いているカンナを見て、ひざ下丈の長そでのワンピース姿の晶子は目を丸くした。
「カンナ、ずいぶん短いスカートだね」
「これくらい普通だろ、今どき。晶子がおとなし過ぎなんだよ」
カンナはランジェリーショップに目を向けて、晶子に訊く。
「下着買うのか? 一緒に入っていいか? あたいもそのうち買いに来るかも、だから」
「うん、別にいいよ」
二人でランジェリーショップに入ると、カンナは物珍しそうにハンガーにかかっている商品を片っ端からながめ始めた。
「へえ、こういう高級な店来た事ないんだよな。お、これなんか晶子に似合うぞ」
カンナはフリルの付いたピンク色のブラジャーとショーツのセットを手に持って言う。晶子はぶるぶると首を横に振って、商品棚の一角を指差した。
「ダメだよ、あたしが買いに来たのはああいうの」
そこに並んでいたのは、白で飾り気の全くない、ブラジャーとショーツのセットばかりだった。カンナが呆れた口調で言う。
「はあ? 小学生じゃあるまいし。女子高生なんだから、もっとおしゃれなもん選べよ」
「いいから、ちょっと待ってて」
その飾り気のないというか、色気のない下着のセットを3点買って、店の袋を下げた晶子とカンナは、同じビルの中の喫茶店に入って一休みした。
カンナがなおも下着の事で晶子に食い下がる。
「なんであんな子供っぽい下着選んだんだよ。晶子はファッションに興味ないのか?」
晶子は紅茶を口に含みながら答える。
「そりゃ興味はあるけど。学校に行く時の下着だから」
「て、別に下着に決まりなんてねえだろ?」
「いやあるよ。あたしの学校の校則で、下着の色は白のみ、飾りがあるデザインのは禁止なの」
カンナは思わずコーラを吹き出しそうになった。
「こ、校則? そんなもん、外から見えるもんじゃねえんだから、意味ねえだろ。検査できるもんでもないし。だいたい教師がそんな検査したらセクハラだろ」
「いや、検査はさすがに女の先生がするけど」
「ちょっと待て、検査自体はあんのかよ?」
「ええと、体育の前の着替えの時に抜き打ちで、とか」
「信じられねえ世界だ。あたいが晶子の高校に通ったら、3日で退学させられるな」
「カンナの高校はそういう規則無いの?」
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グリルタ
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「生徒って言ったって、年齢からしてバラバラだからな。制服だって、標準服ってことで、20代以上の人もいるから、全員着るわけじゃないし」
カンナはやおら自分のスカートの裾をまくり上げて下着を晶子に見せた。
「パンツなんてこんなのが普通だぜ、あたいのとこでは」
カンナが履いていたのは、フリルがたっぷり付いた薄紫色の大人っぽいショーツだった。
一瞬見とれた晶子は、あわててカンナのスカートを下に引っ張り、自分たちの席の周りを見回した。
「カンナ! こんなとこで見せなくていいよ。誰か他の人に見られたらどうすんの?」
「別にいいじゃん、パンツぐらい。見られて減るもんじゃないし」
「だからそういう問題じゃないって、前にも言ったでしょ!」
「それにしても、下着の色や柄まで校則で決められてるって、息詰まらないか?」
「ううん、そうだけど、規則破って見つかったら、内申に響くじゃない。大学受験する時にマイナスになったらって、そう思うと心配」
「やれやれ、勝ち組の学校は、それはそれで苦労あんだな」
コメント
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第28話、読み終えました。晶子とカンナの学校の空気の違いが下着一つでこんなに際立つのかと、ちょっと目から鱗でした。晶子の「内申に響く」という理由づけが、真面目な子ほど校則を内面化してしまうリアルさを感じさせて、切ないです。カンナが「パンツぐらい」と見せちゃう奔放さもキャラが立ってて好き。二人の緩急の効いた掛け合いが心地よかったです。