テラーノベル
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はあ、とグラスの中に入っているお酒を回しながら
ため息をひとつ吐く。
突然だが俺の話を聞いて欲しい
「あ!ゆあんく〜ん!」
ギシ、と音を立てながら上の空なゆあんくんの隣に座り声をかける
「何かあったの?」
「ああ、いやちょっとね」
手を額に置きながらソファにもたれ掛かる彼はいや、絶対何かあるだろと誰でも思うような意味ありげな言葉を吐いた。
「お、のあさん!」
俺がそんな事を考えているうちにゆあんくんはソファから立って散歩中ののあさんへ話しかけに行った。
「あれ、ゆあんくん!何かあったんですか?」
「あー、それがさ__」
俺もソファから立つと手を握りしめ、心なしか早足で自室へと向かった。
で、今に至るんだよなあ…
グラスに入っている残りのお酒を一気に飲み干す。
お酒のせいで顔が涙と鼻水でぐちゃぐちゃでみっともない。
あんな楽しそうに話してる2人みたらさ、なんか…なんか。
俺だって相談くらいのれるのにさ
いつの間にか涙目になっていた目を袖で擦る。
ここにゆあんくんが居たなら目が赤くなるよ!って隣で怒りながら言われるんだろうな。
確かにパソコンから顔が反射して目元が赤くなっているのが分かった。
まあ、そうだよな。一応恋人だとしてもこんな俺より家事や料理ができる優しいのあさんの方がそりゃゆあんくんもいいよな。
ダメだこんな状態じゃ全部ネガティブ思考に持ってかれる、ちっとも俺らしくない。
コンコン、と優しい音が聞こえた
「誰?」
ずっ、と鼻をならしながら音の主に声を掛ける
「あ!じゃぱぱさーん!僕!なおきりです!」
入ってきたのはなお兄で、どうぞーと声をかけると扉の開く音がした。
「お邪魔しますー!」
ぱやぱやしていて周りにお花が飛んでいるような笑顔。
「どうしたの?マッスル寮のなお兄が俺の部屋に」
「んー、じゃぱぱさんよくリビングに居るのに見かけないなーって。」
「じゃぱぱさんこそ、そんな目真っ赤にしちゃってどうしたんですか?」
なお兄は人一倍観察力が鋭いから多分俺の僅かな変化に気づいたんだろう。
「お酒なんか珍しく飲んじゃって、何か言いたいことでもあるんじゃないんですか?」
僕でよければ聞きますよと全て見過ごしたような目で俺を見るなお兄の目はどこが暖かくて、いつの間にか目から堪えてきた涙がボロッと出てきた
「あの、あのさ」
「ゆあ、ゆあんくんが何か悩んでるからど、うしたの?って…声掛けても教えて、くれなくて」
シャックリを上げながら喋っているせいで殆ど聞き取れない俺の話をなお兄は相づちをしながら聞いてくれた。
「お、俺ゆあんくんが悩んでるなら力になりたかったのに、俺」
「もっと頼って欲しいのに」
恋人だからとどんどん蚊細くなる俺を大きな手で撫でてくれた
「なら、ゆあんくんにその気持ち伝えたらいいんじゃないんですか?伝えないとゆあんくんも分かりませんよ」
シャックリが落ち着いてはい息吸って、と俺に声を掛けながら
「こんな時はドーンと行くのが良いんですよ!じゃぱぱさんが思うゆあんくんへの気持ちぶつけちゃえば良いんです!こんな所でグズグズするなんてじゃぱぱさんらしくないですよ!」
だから、と言葉を続けて
「…僕が出来ることは残念ながらこれまでです。僕も応援してるので頑張って下さいね!」
じゃ!お邪魔しましました!と軽い足取りで颯爽と俺の部屋から出ていくなお兄を見て隣に置いてあるスマホを持つ。
励まし方も何もかも滅茶苦茶だけどさ。
勇気を振り絞りゆあんくんと書いてあるボタンを押す。
___電話の音が部屋に鳴り響いた
「はーい、もしもしじゃぱぱ?どうした?」
電話の向こうから能天気な声が聞こえたところでスウッと大きく息を吸い込む。
俺、こういうのって不器用でさ。ゆあんくんみたいに器用に空気を読める訳でもないし。
だから、俺なりに頑張って伝えてみようと思う。
「俺!ゆあんくんのコマンドが上手なとこが好き!たまに見せる優しい笑顔が好き!意外と恥ずかしがり屋なとこが好き!歌が苦手なとこが好き!実は俺よりでかいその手が好き!PvPが得意な君が好き!仲間思いな君が好き!こんな俺でも付き合ってくれたゆあんくんが大好き!!!!」
息を切らしながらゆあんくんに俺の思いを伝える為だけに今は集中する。我ながら語彙力が無いと思いながらも気にしない
「でも、でも!俺に頼ってくれないゆあんは嫌いだよバーーーカぁ!!!!!!」
ドガッと電話の向こうから物音が聞こえた。
「は、じゃぱぱ?え?ちょ…
その瞬間通話を切ってスマホをベットに投げ込こんだ。
その瞬間バタバタと物音を立てながら俺の部屋に向かってくる足音が聞こえた…しかし俺はこんな所で捕まるようなやわな男ではない。
先に自室のドアを開けリビングへと走る。途中でザウルス寮を出ていく時俺の部屋に来たと思われるゆあんくんとすれ違ったが気にしないでおこう。
「じゃ、じゃぱぱ!聞こえてるだろ!止まれよ!」
「無理!!!」
案の定リビングに来たはいいもののあっという間に見つかった。
「お、じゃぱぱさーん!どうしたんですか?」
「な、なお兄!ごめん今無理!!!」
なお兄の隣を駆け、抜け後ろからおってくる怪物から逃げるのに精一杯だった
「…春ですねー」
通り過ぎる瞬間なお兄が何か言った気がする
「ゼェ、はっ…」
「い、いい加減止まってくんない?」
「そっちこそ!」
後ろからの圧が凄い、背筋がゾワッてする。ゆあんくんそんなことできるんだ…じゃなくてまじでそろそろ体力切れそう。いや、別に逃げるほどのことでもないんだけどさただ単に恥ずかしい、恥ずかしすぎる。あんなこと言ったあとなのに正直どんな顔で話したらいいかわかんない。誰か助けて救世主…
いきなりグッと身体が傾いた
「…やっと捕まえた」
まるでやってやったりと言ったような顔でゆあんくんが俺の腕を掴んでいた。いつの間に…これが年の差か
「ねえ、あれどういう意味?」
「どういう意味も何も…」
確かめるような目で俺を見るゆあんから目を逸らす。やばい、気まず
「ごめん」
その言葉はとてもいきなりで、まさか謝られるなんて思った無くて間抜けな声が俺の口からでた。その姿はやはり最年少ということもあって小さい子供のように見える。
「ね、こっち向いてよ」
「え、っと」
ゆあんくんの方を見るってことは俺の泣いた跡見られるってことだよな、無理見られたら恥ずかしすぎて爆発しそう。
そんな切実な願いも通じずゆあんに顔をグッと動かす。
「もしかしてなくともさ、泣いてた?」
「なに、悪いかよ」
「ごめん、じゃぱぱ」
「俺の方こそ、ごめん」
「じゃぱぱが謝ることないじゃん」
「へへ」
飼い主に見放されそうな子犬のようにガッツリと腕を回して俺に抱きつくゆあんくんはとても愛おしかった
「これからはもっと頼る」
「うん」
「ごめんね」
「分かったって」
俺が笑いながら答えると俺に顔を埋めながら「本当に」、と小さい今でも消えそうな声で呟く俺の通話中伝えた”嫌い”というワードが結構刺さっているようだった。
「じゃぱぱ、結構ズイズイこられるのって嫌いかなって勝手に思ってた、聞いたら良かった、ごめん」
ごめん、ごめん、と何度も涙目で呟く
「良いってば」
俺より小さい彼の頭を撫でればいつもなら「子供扱いすんな!」と怒られるが今回ばかりは何も言わなかった。
「てか上げて落とすのは聞いてない」
「言ってないからね」
「そうだけど」
あの状況から約1時間たち、ズイズイ来ても良いとわかったゆあんは現在俺の膝の上ニヤニヤしながら座っている
「ゆあんくーん」
「何ー?」
「重ーい」
いくらからぴち最年少とはいえもう19歳。結構膝にくるものだ…ついこの間まで小学生だったのに
すると後ろからなにやら甘い匂いがして振り返るとのあさんが居た。
「あ…良かったですねゆあんくん」
くすっと俺とゆあんくんをみて笑った
「良かったって?」
「ああ、それがこの間__」
「わーー!!わーー!!」
焦ったようにゆあんが俺の膝から立ち上がりのあさんにつめる。
「秘密!!秘密!!」
「そうでした、すみません」
「絶対わざとだろ!!」
顔を赤くしながら喋るゆあんを見て知りたかったなーと思いながら2人を微笑ましく見る
「じゃぱぱさんはゆあんくんのですもんね」
「だーかーらー!」
笑いながら喋るのあさんに怒るゆあんくん
その言葉を聞いた瞬間俺の体がボッと熱くなったような気がした
「もーのあさんまじで何やってくれんの…」
「そう?俺は嬉しかったけどな」
ゆあんくんが豆鉄砲を食らったようなで俺を見る。口とポカンと開いていて中々滑稽なものだった。
「本当に?」
「本当に」
その瞬間にまーっと笑ったと思いきや俺に飛びついてギリギリの所でゆあんくんを受け止める。コロコロ表情が変わって忙しいヤツだな。
「あぶなっ…」
「ふーん、そっかー」
ゆあんが幸せを噛み締めるようにぎゅうっと俺の肩に顔を埋めなが呟く。
俺の反応が大層気に入ったみたいだった。
実はゆあんくんがのあさんへ付き合って1年記念のプレゼントを相談していたことや。
俺がなお兄に相談してたこと。
俺たちが思っているより周りに支えられ応援してくれていることを知るのはまだ先のお話。
終わり
いいね沢山ありがとうございますт т
コメント
7件
ほんとに …… 読むのに時間かけすぎた……!!! いちいち最高すぎて一旦画面を閉じる行為を何回したか……!!今回も大好きです …… yajp , jpya大好きなんですよ…………、!!!!! みんなに支えてもらってるからこそある、って感じでだいすきです!!!!言葉に表せれない……!!!!!😭😭😭
あ、好きです😇(消滅) 「嫌い」が1番刺さる禁句ワードなの 解釈一致すぎてLOVE🫰
ぇッなにこれなにこれ 聞いてないってこんなに尊いが溢れてる作品あるなんて知らないって!!!! ぁッごっほん失礼✩ 主が出て来ましたね… でもこれは自分の本心が出るぐらい尊かったです!! yajp全然ないんで供給ありがとうございます!!