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us side.
とは…いった物の…。
手伝うって…何すればいいんだ?
だって、コイツ、認めそうにもないしさ。
それに、隣のおじさんは酔い潰れてるしさ。
まともなの俺しか居ねぇの?
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キヨがまた、言葉を話し始める。
ゆっくりとだが、ハッキリと。
「…別に…嫌いではないんだよ。レトさんのこと。」
「けど……好きでもない気がするんだよなぁ…。」
頭を抱え、またうんうんと呻き声を上げる。
そうすると、キヨはぱっとこちらを見てきた。
「ねぇ、何で俺がレトさんのこと好きだと思ったの?」
「普通はうっしーにでしょ。」
バレて吹っ切れたのかぺらぺらと喋りだす。
けど、喋られていても全然分かんない。
だって、明らかレトルトじゃん!!!!
自分の気持ちと葛藤しながらキヨの話に耳を傾ける。
その内容は気づかないのが不思議なくらいに恋をしているかのような話だった。
「目でね、うっしーのこと追いかけててさ、それでね、ドキドキしてたの。ちょっとだけさ。」
「だけどね、あら不思議。」
「魔法が解けたかのようになんも感じなくなっちゃった。」
「友達として『楽しい』って感じになったよ」
「なんでだろうね」と苦笑いを見せてくる。分かるんだろ、それ位。
分かってるんだろ。
本当はレトルトの事を見ていて、2人でいると楽しそうに笑ってる。
たったそれだけだろ。
ずっと隣にいる。消えないって事が分かってるんだろ。
だからお前は安心できてるんじゃん。
俺は鼻で呆れて笑った後、また言ってやった.
「お前は、レトルトの事が好きなんだろ。」
「だからさ……。」
「先に取られても知んねーよ?俺は。」
「は…?」
「案外彼女いたりもするかもよ?」
冗談めいた弾む声で言う。
それなのにアイツは一瞬だけ睨んでから、
「ふざけんな。」
と言った。
お前、確信犯だろ。
そう言いたい欲を抑えて冷静に返答をする。
「…ほら、お前今なに言ったの.」
「……え?………………あ…。」
「……な?好きでも無い奴にそんなことは言えねぇの。無意識でもさ。」
「…うん。分かった。」
「うっしーの言うことが今回は正しいです。」
縮こまりながらも微かに認め始める。
それと同時にキヨの顔がどんどんと火照っている事が見て取れた。
顔が赤くなっていることに気付いたのか、思いっきり反対方向を見て『おてもと』と書かれた箸が入っていた袋にアンケート用のペンを手に取り何かを書き始めた。
コツンと小さくひびく音が聞こえる。
どうやら、書き終わったらしい。
「何書いてたんだ?」
「ん?」
「内緒。後できっとわかるよ。」
まるで未来を見透かしたかのように遠くの方を見た。
その後キヨは、視線をガッチさんの方へと向けて乾いた溜息を漏らした。
「これ…起きないよな、」
隣の人は静かだが、寝息を立てていたので爆睡していることが分かった。
そんな隣の人に、気を向けていると急に、
すくっとキヨが立ち上がった。
「は?……キヨ…?」
「ごめん、うっしー。」
「俺…レトさんのこと大好きみたいだわ。」
過去を振り返ってみたのだろう。
見ているこっちがむず痒くなるほどニヤけまくっていた。
というか、なんで俺が振られたみたいになってんだよ。おい。
そしてそいつは、耳が赤いがいつも通りの顔になった。
「行って来ます」
立ち去ろうとしているキヨを前に俺は止めた。
「待てよ。」
小さく息を整える。
「行ってらっしゃい」
「おう」
そいつは、スッキリとした晴れやかな笑みで小走りをしながら、真の愛する人の元へと足早にかけていった。
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