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「疲れた……」
刀の柄に手をかけ、ほんの少し引いては、すぐに閉じる。
歩きながら、それを繰り返していた。
隣の霞柱をチラッと見る。
相変わらず無表じょ、
「ヒュッ」
私の手刀が空ぶって宙を切る。
「……」
今のは何?
さっき山で霞柱から見えたのと一緒。
鬼。
もしくはその亡霊。
でもなんか蠢き方が違う……というかなんか気配が濃くなっているというか……
(まただ!)
今度は左。
「ザッ」
衝動に全てを任せてそれを斬る。
一時的だろうが、それは消えた。
「おわっ…」
刀を下ろした直後に、体が宙に浮く。
忘れていた。
そうだ霞柱。
「君はさっきから何をしているの?せいぜい時間の無駄だよ」
後ろから襟を掴まれたせいで、首が締まって息がしづらい。
「時、とうに、は、分かんな、い、でしょ」
これは早く抜けないと。
手が緩んだ!
まだ森だから上手くまけば。
「ドンッ」
「……っ!」
木に背中を打ち付けられる。
そして首を片手で掴まれる。
「くっ…」
なんて握力!
抜けない。
でも刀は持ってるし、柄で上手い事逃れなれないかな。
どうしよう。
「鬼が……居た…ん…だよ……べ…つにときとうを……切…ろうとした……わけ…じゃ無い」
苦し紛れに訴えつつ、本当に危機を感じる。
心臓が痛い。
手に力が入らない。
視界が。
もう駄目だ。
諦めよう。
「………」
ここはどこだろう。
見覚えのない木の天井。
畳。
布団。
蝶屋敷ではない。
それじゃあ藤の家紋の家?
「起きた?」
覗き込んできたのは時透だった。
「ゲホッ」
慌てて起きあがろうとして、咳が出る。
心臓が痛む。
久しぶりに酷い。
やっぱり悪化してるのかな。
「そんな体でどうして鬼殺なんてできてるの」
痛い質問だなあ。
でも無惨との関係は言えない。
「……分からない」
枕元に畳んで置かれていた羽織を羽織る。
冷えた体がほんの少し温まった。
「……!簪は?」
今更、自分の髪が下ろされていることに気づき、慌てる。
「簪ならそこにあるよ」
霞柱が指をさしたのは、布団の脇にあった文机だった。
その上には確かにいつもつけている簪があった。
「良かった……」
簪を両手で握り締め、俯く。
「そんなに大切なものなの」
「……うん。形見みたいなものだからさ」
「なんかごめんね。任務あるでしょう?」
「うん。この後あるけど」
「もう行ったほうがいいよ」
「君は?任務無いの?」
「今からある」
「そっか」
簪を髪に付け直して、畳に手をついてゆっくりと起き上がる。
「任務行けるの?」
「うん。だからもう行っていいよ」
「そ。じゃあ気をつけて」
霞柱はそう言うと、襖を開けて外へ出ていった。
なんか印象変わったなあ……
それとも元からああいう感じの人だったのか……
まあ良いか。
私には関係ない。
「峰。行こうか」
壁にもたれかかりつ言う。
「大丈夫カ?」
「うん。多分、ね」