『人形店』
「空はこんなに青いのに
何故床はこんなに赤く染まっているのでしょうか」
貴族の様に豪華な紅色のドレスを着用し、不釣り合いなモップで床に広がっているシミを拭きあげ、肩元で揃えられた光沢のある黒髪を揺らしながらそんなことを呟く美人
妖艶な女の様な格好をしているが
細い指には筋が見えていて見方を変えれば中性的な男にも思える。
そんな風変わりで不思議な人物
それが普通とは違う風変わりした人形達を専門的に取り扱っている
摩訶不思議な人形店の店主【石榴】
年齢性別出身
はたまた石榴というなが本名なのか、
何故人形店を営んでいるか、全てが不明な人物…というか人間でもないが
人魚の肉を食べている、人の魂を吸っている、まるで神のような存在、悪魔の生まれ変わり、宝石、 その美しい容姿を活かし多くの権力者達を掌で転がしているなどといった飛び交う様々な噂も石榴を彩り飾り立て、より浮世離れした存在として感じさせる要因となっている。
石榴は店の掃除を終え、椅子に腰掛ける。
紅い瞳で店の中をぐるりと見回す。
美しい人の様な形から、動物の形をかたどったもの、架空の生き物を型どったものなど、
様々な人形が棚の上やショーケースの中に置かれており、その全てを見回し、
棚の上にあったほんの小さなホコリも全て拭き上げた後満足そうに微笑む。
紅茶の茶葉が入った缶に手を伸ばしたが、
うっかり缶を落としてしまいガシャンという金属音が響いた後、茶葉が床に散らばる
「おやまぁ…」石榴がそう呟くと店の上の階からドタバタと慌てた様な足音が聞こえてきてその階段を白髪の少年と長身な女性が駆け下りてくる。
「お母さん大丈夫!?」と白髪の少年が焦った表情を浮かべながら言い
長身な女性は「石榴様…!ご無事でしょうか!?」と顔を真っ青にして片手に剣を持って少年を背後に庇うような体制をしながら叫ぶ
石榴は数秒固まったあとくすりと笑い2人を宥める
「クオーツ、ペリドット、大丈夫よ、ただ缶を落としてしまっただけだから」
「な、なんだぁ…」
「左様でございますか…」
2人は胸を撫で下ろし長身の女性は箒とちりとりを持ってくる。
クオーツというショートカットに揃えられた髪も瞳も服も全て真っ白だが、
胸元にある小さな宝石にのみが紅色に染まっている。まるで男の様にも見える女性は、石榴の開いている店の従業員である鳥人族の雌で、何年か前に石榴に雇われ石榴の右腕的存在としてサポートやほぼ全ての業務をしている有能な部下である。
そして、その隣で散らばった茶葉を処理している白髪に緑色の宝石の瞳をしているペリドットという少年は、石榴が随分昔に自ら造り出した人形で、店にある他の人形達とは違い、まるで本物の人間の様に動いたり話したり感情を顕にし、石榴を「お母さん」と慕う非売品の人形。
店にいる人形やクオーツを兄弟、姉妹の様に思っており仲良く生真面目に店をお手伝いしている立派な従業員だ。
石榴から見ればこの2人の絡みはまるで年の離れた姉弟の様だそうで、しっかり者で真面目に仕事をする2人のことを気に入っている。
ふと、床の片付けをしている2人の頭に両手を伸ばし、優しく撫でる
少し照れる2人に少し微笑んだ後
「2人とも、ありがとう」と言い石榴は店の外に出る
森の奥の更に奥深くの中にある。まるで高貴な貴族の屋敷の様な店。
広い庭園にお茶会場所、タイルの道、大きな門
その全てを建てるのに掛かった費用は
石榴が掌で転がしている権力者達の財布から出ているか、
人形屋での儲けのどちらかだろう。
昼時の高い位置にある太陽を見上げ、風が吹き黒髪が揺れる
ふと庭園に目をやると薔薇の花に蝶が舞っている
すると「あのぉ…」と遠慮がちな声が聞こえ、石榴が声の聞こえた方に目をやると
門の外に立っているそれなりに裕福そうな若い女性が
「人形屋さんはこちらであっていますでしょうか…?」と、少し不安げに聞く
石榴は優雅にカーテンして女性の方に向き直す
「いらっしゃいませ、お客様。本日は何をお求めで?」
妖艶に笑いながら門の鍵を開け、女性を招き入れる時
微かに石榴の紅い瞳が鋭く光る
コメント
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石榴さぁん!!!😻😻😻
わ石榴さん(消滅)