テラーノベル
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朝の光は、いつもと同じはずなのに、どこか少しだけ、違って見えた。さ、今日も学校だ。
私は居間に向かった。
今朝も居間に温かな香りが漂う。
朝ごはんは、お魚かな?卵焼きかな?
私は脳内で、ひとりクイズ大会を始めた。私の日課だ。
「おはよう、お母さん!」
私がお母さんに声をかけた。
お母さんは私に気付いて振り返った。
「あら、千鶴子。おはよう。もうすぐ朝ごはんできるけぇのぉ。」
「はーい!」
私はちゃぶ台の前に座った。
お姉ちゃんはまだ部屋にいるみたい。きっと、身支度を整えてるんだろうなぁ。
お父さんはいつも通り、ちゃぶ台の前に座って、新聞を広げている。
新聞って、何が面白いのかな?私にはさっぱりわかんないや!漫画の方がずっと面白いのに。
私がそんなことを考えていると、お姉ちゃんが居間にやって来た。
「おはよ、千鶴子。今日はおさげにしてみたんよ、かわいいじゃろ?」
お姉ちゃんは毛先を触りながら、満面の笑みで言ってきた。
「うん!ぶちかわいい!」
「そうじゃろ?千鶴子にもやっちゃろうか?」
そう言って、お姉ちゃんは私の手を引いた。
ご飯はまだできてないみたいだし、お姉ちゃんは手先が器用だからやってもらおう!
そして私たちは部屋に向かった。
お姉ちゃんは私を座布団に座らせて、髪を結んでくれた。
「うわ〜!ぶちかわいい!お姉ちゃん、ありがとう!」
私、幸せ者だなぁ〜!そう思いながら、私はお姉ちゃんに伝えた。
お姉ちゃんはニッコリ笑って、「どういたしまして」と言った。
私たちが居間に戻ると、ちょうどご飯ができた。
朝ごはんの答えは……卵焼き!
私、お姉ちゃん、お母さん、お父さんの四人で、和やかに朝ごはんを食べた。
私がお味噌汁を啜っていると、お父さんはネクタイを締め終えて、玄関に向かっていた。
私は朝ごはんを完食し、お姉ちゃんとお母さんと玄関に向かった。
「お父さん、いってかえり!」
「いってかえり、お父さん。」
「貴方、いってかえり。気ぃつけてね。」
「うん、行ってくる。」
お父さんは戸を開けて、仕事に向かった。
私たちは再び居間に向かって、のんびりと過ごした。
時間。
私とお姉ちゃんは、学校の制服に着替えた。
そして玄関に向かい、靴を履いた。
「お母さん、行ってくる!」
「お母さん、行ってくる。」
私たちは二人でお母さんに言った。
お母さんは優しく微笑んだ。
「うん、気ぃつけてね。いってかえり!」
お母さんの言葉を聞いた後、私たちは戸を開けた。
お姉ちゃんとしばらく歩いた。
いつもの分かれ道。
お姉ちゃんは駅の方に、私は徒歩で学校。
「お姉ちゃん、また後でね!」
「後でって……。学校終わってからからじゃよ?」
クスクス笑っていながらも、ちゃんと手は振り返してくれた。
優しいお姉ちゃんがいてくれて良かった。
今朝だけで、二回もそう思った。
私はいつもの空き地に向かった。
この空き地は通学路の途中にあって、澄子との待ち合わせ場所なんだ。
澄子はもう着いていた。
「澄子!おはよう!」
私は手を大きく振りながら言った。
控えめな澄子も、いつもより大きく手を振りかえしてくれた。
「千鶴子、おはよう。今朝も元気だね」
「うん、私はいつでも元気百倍じゃ!」
二人で笑いながら歩き始めた頃、澄子が思い出したように私に尋ねた。
「そういえば、今日は習字の授業があったね。」
「えっ……あ!」
私は思わず立ち止まった。
頭の中が真っ白になる。
「忘れた……!」
「本当に?」
澄子は少しだけ目を丸くした。
「ごめん、すぐに取ってくるけぇ!」
私は少し走った。けれど、一度止まって振り返って言った。
「先、行っとってもええよ?」
でも澄子は首を横に振った。
「ううん。ここで待っておくよ。」
澄子の優しさに感動しながら、私は頷いた。
より急がなきゃ!
私は家まで走った。
家の屋根が見えてきた頃、お母さんが家から出てくるのが見えた。手には買い物かご。朝からお買い物かな。
……いや、そんなの考えてるんじゃなくて、急がなきゃね!
私は急いで家に入った。
部屋で習字道具をまとめていたら突然、空襲警報が鳴った。
「え、嘘じゃろ……?」
長く、伸びる音が広がる。
音の高さがゆっくり上がったり下がったりしている。強い不安感を与える音。
私は反射的にその場に丸まった。
どういう行動が正しいかなんて、今はわからなかった。
次の瞬間、世界が白く弾けた。
音も、光も、すべてが一度に押し寄せてきた気がした。
気がつくと、私は地面に倒れていた。
さっきまで聞こえていたはずの音が、どこにもなかった。
何が起きたのか、分からない。
ただ、耳の奥で、キーンという音だけが鳴り続けている。
「……澄子!」
さっきまでの光景が、頭の中で何度もよみがえる。
「ううん。ここで待っておくよ。」
あのやさしい声。
(待っとるって、言っとったのに)
私はふらつく体を起こそうとした。
行かなきゃ。
澄子のところへ。
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