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誰も知らない、高嶺の花の裏側4
第8話 〚スープに大異常〛
澪、えま、しおり、みさと、りあの5人で登校していた朝。
空気は冷たくて吐く息が白いのに、澪だけは急に身体が熱くなる。
その瞬間——
“妄想(予知)”が、嵐みたいに頭に流れ込んできた。
心臓がドクンッ、と大きく跳ねて、
次の瞬間には激しく痛み出す。
見えたのは、給食室の一角。
スープを作っている作業場。
そこに、“何か大きな異常”が起こっている映像。
(だめ……これ、絶対にやばい……!)
映像が途切れた瞬間、澪の足元がふらついた。
「澪!?」
「ちょっと、顔真っ青だよ!?」
「え、え、待って、やばいって!」
えま、しおり、みさと、りあが一気に支えに入る。
澪は呼吸が乱れて、胸を押さえたまま立っていられない。
「ほ、保健室……! 早く連れていこ!」
4人が必死に澪を支えて走り出したその途中で——
また、予知が襲ってきた。
心臓が“ズキン”ではなく“締め付けられるように”痛む。
今度の映像は、教室。
給食の時間。
みんながスープを口にした後、次々に体調を崩して倒れかける姿。
(これ……完全警告……!)
映像が途切れた瞬間、澪の意識がまた揺らぐ。
顔は真っ青で、今にも倒れそう。
その時だった。
「……澪!?」
海翔が廊下の先で、その様子を目にした。
一瞬で表情が変わる。
「ちょっと貸して!」
海翔は迷いなく澪のそばに走り込み、
そのままお姫様抱っこで持ち上げた。
澪は弱々しく海翔の胸に手を添える。
「大丈夫、澪。すぐ保健室行く」
声は焦っているのに、抱きしめる腕だけは丁寧で優しい。
えま達も後ろから必死についていく。
そのまま海翔は、誰よりも早く廊下を駆け抜け、
澪をしっかり抱えたまま保健室へと急いだ。
澪は海翔の腕の中で、薄く目を閉じながら思う。
(みんなを……守らないと……)
物語は、静かに、しかし確実に緊迫した方向へ動き始めていた。
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