テラーノベル
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『ひろってください』
びしょ濡れになっちゃった。
寒いなぁ。
でも、雨は好き。
きれいだから。
汚れきったぼくを、きれいにしてくれる。
きらきらしてるんだ。
ぼくの暮らすお家には、
『ひろってください』
っていう文字が書いてある。
なのに
みんな、見て見ぬふりをする。
ほら
よくみて。
『ひろってください』
って書いてあるよ。
…誰も拾ってくれない。
みんなは大きいから、この文字が見えないのかな?
よし、もっと見えやすいようにしよう。
『ひろってください』の文字を ちょっと上向にした。
これなら絶対見えやすい。
どんな人が、ぼくを拾ってくれるかな。
楽しみだな。
なんで?
なんで誰も拾ってくれないの?
どうして?
ほら、見えるでしょ?
『ひろってください』 って 書いてあるよ?
ぼくは拾って欲しいんだ。
お願いだから、誰かぼくに手を差し伸べて。
見えているでしょう?
ぼくも、この文字も。
コメント
1件
第1話、読み終わりました……。雨粒ひとつひとつがきらめく描写がとても美しくて、その静けさと「ひろってください」の文字が、すごく痛く響きました。主人公の「誰も拾ってくれない」という悲しみと、「見えているでしょう?」という最後の言葉に、胸がぎゅっと締めつけられました。まだ1話なのに、すでに世界観に引き込まれています。続きが気になります……!