__突然だが、私の一番の黒歴史であり私が一番好きなアニメ化された漫画は知っているだろうか?
3、2、1、…え?そんなの知るわけないだろって??ブッブー、100点中のマイナス100点で不正解でーす。
━━正解はそう、鬼滅の刃だ。
当たった人にはお菓子あげよう。いらんって?いいから貰っとけ。
鬼滅の刃。
時は大正の話。主人公である竈門炭治郎が家を開けたある日に家族が鬼に惨殺され、妹である禰豆子も鬼になる。鬼になった禰豆子をどうにか人間に戻す手段を見つけるために竈門炭治郎は鬼を追い剣術の修行に身を費やし、鬼を作った主犯である鬼舞辻無惨を倒すまでの物語。
私はこの地獄が大好きだった。
妹が鬼になったのにそれでも諦めず希望を持って鬼を作った黒幕を倒す、だなんてそんな主人公みたいな物語が私の大好物なモノなのである。
私は過去に鬼滅の夢と呼ばれる夢主を作ったぐらいに好きだった。今はもう社会人になったので本当に黒歴史であるが、マジでもうホント泣きたいくらい黒歴史。
…そう、私が書いていたのは所詮愛されって奴だよ……
具体的言えば『そ、そうかよ…///』(やべぇこいつかわいくないか?///)みたいなやつだよ!!!!!
小説を書いたことがある人ならば一度通る道で…ならわかるだろう?!あんなことやこんなことを書いた過去が!!!!!!…黒歴史はしまっちゃおうねしたい。いや真面目に。
しかもだ。
しかも私は大体の作品が地獄と呼べる相応しい過去にしていた。
あーーー本当に死にてぇ!!!!!!!
だから私は今世で前世を学んでそれにならないために私は精神を削りながら嫌われを別のジャンプ作品である別の地獄でやってたって言うのに!!!!!なんなら嫌がらせしてくる別の夢主も都合がいいから放置してたって言うのに!!!!!!!
なんで──
「…前世、鬼殺隊だったんだってね」
なんで五条先生(=最強)がその単語を知ってるんですかねぇぇ!!!
そんな真面目そうな顔すんないっそ笑ってくれよもう!!!その方が圧倒的に楽だわ!!!!
黒歴史暴露ヤメロ!!!!!!!
▽ ▲ ▽ ▲ ▽
この呪術高専東京校には、全員からの嫌われ者がいた。
そう──三級呪術師 渚美緒である。
渚美緒は所謂ぶりっ子と呼ばれる物で、五条や釘崎、そして誰に対しても優しい悠仁さえも嫌っていた。しかしある日五条が過去の視える呪霊の攻撃を受け(勿論わざとだ)、渚美緒の過去が明らかになる。
その美緒の過去の人生に爆笑する筈だった。
笑う筈だったのだ。
しかし──
《───初めて両親を殺された時の匂いは、血の匂いがした。》
全員の空気が、凍った。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲
───初めて両親を殺された時の匂いは、血の匂いがした。
視覚聴覚嗅覚。
当然のようにあるそれらは、目の前のことを頭の中で処理出来てしまって。
視覚の情報は眼の前の惨状が紅色に染まっていて。
嗅覚の情報は血の匂いしかなくて。
聴覚の情報は叫び声もなにもかも現実だと思えなくて。
【さ、こっちいらっしゃい、■■】
【まったく、仕方ないなぁ■■は】
笑顔で私の名前を呼んでいた母親と父親。
「おとぅさ、お、おかぁさん?」
手先が震えて、ふたりもつめたくて。
いつも通りの【おかえりなさい】の返事が帰ってこなくて。
これが現実だなんて、思いたくもなくて。
目の前にあるのは光もなにもない、なにも言わない、ただの両親の姿をした肉片で。
普段よりも冷たく、広く感じるこの温かな家でなにが起きたのか理解できなくて。…理解、したくなくて。
……………………でもソレが私の両親だと認めるしかなくて。
「あ、ああ、あああああ」
母音を意味もなく吐き出した。
一人私の母親と父親を蹂躙する異形に、何もできなくて。……できや、しなくて。
私の顔と手と服には、両親の血がべちゃっと付いていて。
あぁ、私も死ねるんだって。
皆の所へいけるんだって思って、それで。
「大丈夫か!」
横槍が入った。
後のこの異形である”鬼”が鬼を退治する”鬼殺隊”に斬られて私は死ねないんだと分かった。
「なんで、死なせてくれなかったの、」
そうひとり、つぶやく。
その言葉は小さくとも、聞こえていただろう。
私は死にたかったのに。みんなと一緒に死にたかったのに。
母親と父親と、いっしょに天国に行きたかったのに。
なのに。
「なんで!!!なんで、いっしょに逝かせてくれなかったの!!?」
生きてても仕方ないのに。
お父さんとお母さんがいないなら、全部全部どうでも良かったのに。
──私も一緒に死にたかったのに。
一緒に死んで、一緒にまた生まれ変わりたかったのに。
「なんでよ…」
彼の服を掴みながら問う。
どうして、なんで。
理由だけを求めて、その問題に答えだけを提示して、返答して欲しくて。
私を助けてくれた人物──のちに炎柱となる煉獄杏寿郎(通称煉獄さん)は私の言葉になにも答えを用意してくれなかった。
ただ私を抱えて、蝶屋敷まで連れてって行ってくれて。
お風呂に連れてってくれて、食事を用意してくれて、鬼を退治する鬼殺隊を教えてくれて。
でも、鬼殺隊を入るかどうかの判断は任せてくれて。
結局私は鬼殺隊に入った。
死ぬ為に。お母さんと、お父さんと早く会えるようにするために。
──その自分の考え方を…いや、自分の感情について考え始めたのは竈門炭治郎という妹を鬼にされた少年に出会ってからだった。
「……■■さんはどこか生き急いでいるような匂いがするんです」
ある任務の終わり。
炭治郎と合同の任務で聞きたいことがあると言われ、炭治郎にそう問われたのだ。
その言葉にふっ、と私は笑った。
なんだ、そんなことか。
「その嗅覚は間違ってないよ。流石だね、炭治郎」
私はこれまでのことを話した。
両親のこと、
鬼殺隊に助けてもらったこと、
そして──今も私が母親と父親の元へ行きたいと思っていること。
「■■さんはなぜ今も民間人の人を助けているんですか?」
「わからない。でも、助けたいという気持ちだけはあることだけは判る」
なぜかは分からないけれど、理由も分からないけれど。
それが今自分が思っていることの真実で。
「俺の匂いから■■さんは心残りがあるんじゃないかと考えてます!」
「心残り、」
心残り、ね。
「はい!■■さんはその心残りを考えたらいいと思います!」
「…すみません!俺そろそろ次の任務があるので失礼します!!」
私は蝶屋敷にいてからも、炭治郎の言葉についてずっと考えていた。
(……心残りか)
そんなもの、ない筈なんだけど。
私はただお母さんとお父さんの元へ行きたいだけ。
━━ふと、炭治郎の言葉が頭を過った。
【■■さんはなぜ今も民間人の人を助けているんですか?】
ならなんで私は今まで民間人を助けてきたのだろうか。
人を助けたいから?恩を売りたいから?鬼から助けたいから?…どれもその時の私にはしっくりこなかった。
そんな疑問を持ち続けていた時、一つの単独任務が私の元に入った。
──それが私にとっての転機だったのだということが今になってわかる。
任務内容は近頃街に湧き続ける鬼についての調査。
その任務を日に日に調査していると分かったことがある。
それは1ヶ月に一回大勢の人が出入りするということ。大量の人(勿論鬼ではないことは確認済だ)がナニカを隠して街の一際大きい建物に入っていくのだ。そしてそのナニカを渡し終わるとその街は普段通りに戻る。
私は任務内容を見てある仮説を思いつき、可憐で華奢な少女に変装することとした。
挨拶を周りながら1ヶ月間泊まるのだ。そうすればこの街にもボロも出始めるだろう。
泊まってから1日、1週間と時は過ぎ。
丁度あと1日で2週間に差し掛かる所だった。
「鈴音さん、だったかい?あとで皇 屋まで来てくれないかい?」
「分かりました!」
_掛かった。
■■はニヤリと笑った。
── 皇 屋。
それはさっき言った一際大きい建物の街の名称だ。 …実はさっきのお婆さんは少し罪悪感のあるような顔をしていた。殺されないために、と必死な様子が伺って取れたのだ。
あの反応だと十中八九鬼が居るところで間違いないだろう。
“鬼は抹殺する”
至極当たり前のことだ。
──それが私の役割だ。
▷▶▷▶▷
「俺はなぁ!お前を殺して無惨様に血を分けてもらうんだよ!!」
そう云うは、下弦の参。
(…成程、下弦が来ていた訳か。隊士が敗れる筈だ)
あの任務内容には付け加えて隊士5人が殺されていたと書いてあった。その調査も加えてだったが問題なさそうだな。
それと気になる点が一つ。
(…私を殺すと無惨になんの得がある?私を殺して得になることはなにもないはずだ)
そう、 なぜ鬼舞辻は私を殺そうとしているのかについてだ。
最近無惨は私を狙っているらしいと噂としては聞いていたがまさか本当だとは…
(まあそれは後で考えよう、今はいい。…鬼を狩り任務をさっさと終わらせよう)
「光の呼吸、弐ノ型『 琳光日』」
技を放つのと同時に私を中心の軸として紫や藍の光が辺りを包んだ。
この呼吸は、独自に編み出した雷の呼吸の派生の光の呼吸だ。
──私はとても、とてもこの呼吸を気に入っているのだ。一日の任務で二、三回は使う位に。 一瞬で距離を詰めて、下弦の鬼の頸を落とす。
最期の最後までちゃんと切れたのかを確認してから黄色い刀を鞘に収める。警戒は怠らない。慢心では命を落とすような当たり前の職業だからな。
(…最後まで視えなかったか、私の刀が)
踵を返そうとして──
「あの!!」
幼い声に、呼び止められた。
「父を助けてくださりありがとうございます!!!……父も、安らかに眠っていると思います!!」
その少女と呼ばれるくらいの年齢…12歳くらいだろうか?12歳の少女は街の人間から鬼である父の娘と呼ばれる人物だった。
「本当にありがとうございました!…あれ?聞こえてない?ありがとうー!!!」
視界が歪む。
なぜか涙が溢れて止まらなかった。
【■■さんはなぜ今も民間人の人を助けているんですか?】
いつかに聞いた炭治郎の言葉が思い出される。
…そうだ。私が民間人を助ける理由。
それは、父親と母親と同じ”人間”だからだ。
お母さんとお父さんは人間として終わった。鬼になってもいない、人のままで亡くなったのだ。
だから私は人が人のままで死んで欲しいから、助けるんだ。
クズなんてどこにでもいる。それでも、どうしても、人だから…人のまんま助けたかったんだ。
鬼にならないように、鬼にしないように。
私は柱ではない。そんな実力もない。けれど、人が鬼になった所を何度も見てきた。人になった鬼が人を殺す所なんて、倍見てきた。両手じゃあ、もう数え切れない。
でも。助けられなかったけど、助けたかった。……自分で涙、流せたんだ。
そっか。私、そう思ってたんだ。…そっかあ。
…きっとこんな人ならざるものを切り続けている私じゃあ、母や父のいる天国なんて到底無理だろう。
けど。私はもう止まれない。止まらない。
もし天国に行けたら、その時は────褒めてほしいなあ。
夜が明ける。光が指す。
夜明けの中で、私は一人嗚咽を噛み締めて蝶屋敷まで帰っていったのだった。
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