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🛡️ 第十三章:触れるべからず、二人の絶対的庇護兵舎に広がる「最強の噂」
サクラの、壁外調査で見せた驚異的な戦闘能力と、彼女がリヴァイ兵長とエルヴィン団長から異例の特別扱いを受けているという事実は、瞬く間に調査兵団内に広まった。兵士たちはサクラを「異世界の天才」と囁き、その小柄な体躯と卓越した技術に興味津々だった。
「おい、見たかよ。サクラ兵士のあの斬撃!まるでリヴァイ兵長の動きに、獣の俊敏さが加わったみたいだ!」
「あんな体格なのに、あのスピードだ。一体どんな訓練を受けているんだ?」
好奇心は、やがて行動へと変わる。サクラの強さに触発された数名の兵士が、サクラに合同訓練を申し込もうと、彼女を探し始めた。
訓練場での「接近」
ある日の午後、サクラが一人で自主訓練をしていると、数名の兵士たちが近づいてきた。彼らはサクラの動きに感銘を受け、純粋に彼女の技術を学びたかった。
「サクラ兵士!少しお時間をいただけますか!我々に、あなたの体術の秘訣を教えていただきたい!」
「…えっと」サクラは戸惑った。リヴァイから「無駄な接触を避けろ」と厳命されている。
「お願いします!特に、あの立体機動からの**『体幹のねじり』**の技術!もしよろしければ、実際に触れて、フォームを指導していただきたく…」
その中の体格のいい一人の兵士が、熱意のあまり、サクラの肩に手を伸ばそうとした。彼は純粋に技術を学びたかっただけで、悪意は微塵もなかった。
――その瞬間、戦場とは別の、激しい緊張が走った。
刹那の介入:リヴァイとエルヴィン
兵士の手が、サクラの肩に触れる、わずか数ミリ手前。
ドンッ!
突如、音もなく、その兵士の体が弾き飛ばされた。
リヴァイ兵長だ。彼は、いつどこから現れたのか、全く分からない神速の動きで、兵士の肩に膝蹴りを入れ、サクラから引き剥がした。リヴァイは、サクラと兵士の間に立ち、凄まじい殺気を放った。
「何をしている、ゴミ野郎が」リヴァイの声は、地を這うように低く、怒りで震えていた。「俺の管轄内の兵士に、軽々しく触れようとは、どういう了見だ」
兵士は膝を抱えてうずくまり、リヴァイの殺気に息を呑んだ。
そして、同時に。
「君たちの行動は、極めて不用心だ」
訓練場の端から、エルヴィン団長が冷静な声で介入した。エルヴィンは馬に乗ったまま、サクラとリヴァイのいる訓練場へと静かに進んでいた。彼は、訓練場の全体を見渡し、サクラの危険を察知していたのだ。
エルヴィンは、他の兵士たちを威圧するように、厳然とした態度で告げた。
「サクラ兵士は、極秘の任務と訓練を受けている。その体術は、君たちが容易に触れていい『技術指導』の領域ではない。これは、人類の未来に関わる、高度な機密だ」
エルヴィンは、サクラの体に対するリヴァイの独占欲を、**『国家機密』**という大義名分で正当化した。
リヴァイは、サクラの肩を掴み、自分の背中に隠した。
「聞いただろうが。お前らの安っぽい好奇心で、彼女に近づくな。もし、俺たちの許可なく、再び彼女の体を汚そうとする者がいれば…その時は、容赦なく削ぎ落とす」
彼の警告には、私的な感情が込められており、エルヴィンの「機密」という言葉と相まって、サクラへの絶対的な庇護の壁を再構築した。
強化される独占と隔離
二人の英雄の介入により、兵士たちは恐れ慄き、退散していった。
サクラは、二人の間に立ち、彼らの過剰なまでの庇護を浴びていた。
「兵士長、団長…ありがとうございます」
「感謝は不要だ、サクラ」リヴァイが冷たい目で言った。「お前の不用心が、危険を招いた。訓練は、今日から全て俺の監視下、この訓練場でのみ行え」
「サクラ。君の体は、私とリヴァイが人類の未来のために管理している。今後、君の周りには**『隔離エリア』**を設ける。君の安全と、情報の漏洩を防ぐためだ」エルヴィンは、サクラの心身の安全を、公的な名目で完全に確保した。
サクラは、自分の強さが、逆に二人の英雄によるより強固な独占と隔離を生み出していることを痛感した。彼らの溺愛は、もはや彼女の運命そのものとなっていた。