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僕が目を覚ますと、そこは見たことのない景色だった。
「ここは…?確か僕はニンゲンに…」
その時だった。
「…お、新入りかぁ?」
突然聞こえた声に驚き、反射的に振り向く。
するとそこにいたのは…
「…君は誰?」
「俺はにんじん。結構前にここに来た、野菜だぜ」
「…君も、ニンゲンに攫われたの?」
「ああ。ちょうど三日前。連れてこられた時はびっくりしたぜぇ…。」
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三日前。
俺、にんじんは見たことのないところへ来ていた。
「…どこだぁ、ここ」
そしたら、急に声が聞こえたんだ。
『こんにちは。』
「…?」
最初は気のせいかと思ったが、全然そんなことはなく。
『こんにちは、にんじんさん。私は今、あなたの脳に直接語りかけています』
「…のう?」
『あら、食べ物のあなたには脳という存在はなかったのだった。ですが…今、この場ではあなたの心と言いましょう』
「ココロ…で、ここはどこなんだ?そもそも君は誰なんだ?」
『私は食べ物の神様。あなた達の意識が生み出した、神様です』
俺はその時、とてつもない不思議な感じに覆われた。
前までは喋れなかった。前までは言葉を知らなかった。でも何故か、カミサマの言葉を聞くだけでその意味が分かるのだ。
『不思議ですよね。あなたがこの世界に生み出されたその瞬間に、あなたにはある程度の知識を与えていますから』
「…で、ここはどこなんだ?」
『ここは…そうですね、精神の休み場といいますか。』
「……わかってるんだ。全部、言ってくれ」
『あら、気遣いは不要だったみたいですね。…正直に言うと、ここは食べ物が死んだあとに来る、いわば天国です』
「死んだ…?俺は、死んだのか?」
『…えぇ、あなたは腐ってしまったのです。なので私はその意識を拾い上げ、この世界、フードワールドに召喚したわけです』
「そっか…まだこの世界には、誰もいないんだ」
『そういうことになりますね』
「じゃあ俺は…ここで、食べ物たちの楽園を築いてやるんだ…!死んでしまった食べ物たちの…せめてもの報いに…!」
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「…ということがあったわけさ」
「へぇ…これから色んな仲間が増えてくるって分かると、ちょっとワクワクしちゃうね…!」
「まあ、な。」
その時だった。
ピカァァァァァン…!
にんじんとりんごの間に光の柱が出現する!
「なんか…ワクワク…!」
「俺もそうだな…ワクワクしてきた…!」
つづく