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「うーん。葵……。起きたの?」
瑞希くんと目が合う。
「うん、おはよう。私、シャワー浴びてくるね」
昨夜のことを思い出し、今更ながらも恥ずかしくなる。
「ん……。行ってらっしゃい」
彼はまだ眠そうだ。
バスルームの鏡でふと自分の姿を見る。
「なにこれー!!?」
私が大きな声で叫んだからか
「どうした!?」
瑞希くんが上半身裸の状態で駆けつけてくれた。
「ちょっと!瑞希くん!キスマークつけすぎ!!」
首、鎖骨、胸、至るところが赤くなっている。
「ごめん!」
私の身体を見て、彼は手を合わせ謝ってくれた。
「どうすれば許してくれる?」
子犬のような彼の態度が可愛く見える。
「じゃあ……」
私は彼の両肩につかまり
「葵……?」
彼の鎖骨の下をチュッと思いっきり吸った。
私が口づけた後、くっきりと赤く残る印。
「これでなしね?」
そう告げると
「もう……。ダメ、可愛すぎる……」
瑞希くんに抱きつかれた。
「今から葵のこと抱きたいけど、ダメ?」
言葉に身体がビクっと反応してしまったが
「ダメ!反省してる?」
ここはちゃんと止めないと。
「はい。してます」
瑞希くんは、しょんぼりしながらも我慢してくれたみたい。
シャワーを浴び終わり、鏡で再び自分の身体を見る。
明後日の出勤前には赤みが引けばいいな。
首元どうしよう。
昼食を二人で食べ終え、片付けたあと、ソファに座り、スマホを触っている瑞希くんに話しかけた。
「ごめん。お仕事前にちょっといい?」
「うん。大丈夫だよ。さっきのことは本当に……」
「さっきのことじゃないの」
彼の隣に座る。
「あのさ。昼間からこんな話をするのはどうかと思ったんだけど。気になってることがあって」
「なに?」
「いつも……。私ばっかり気持ち良くなって申し訳ないなって。私、瑞希くんに何もしてあげてない」
ああ、昼間からなんて話をしているんだろ。
私の発言に瑞希くんはキョトンとしていたが
「そんなこと気にしてたの?」
「うん」
クスっと笑って
「マジ可愛いなー。仕事行きたくなくなる」
彼は私を抱き寄せた。
「確かに俺だってなんつーか。最後までやりたくなるけど。葵が俺のことちゃんと認めてくれるまでは、我慢するって決めたんだ。だから気にしないで?俺の中のルール。でも、どうしても葵の可愛い顔とか見たくなるから。昨日みたいなことはまたしちゃうかもしれない。これは正直に伝えておく」
私が瑞希くんを認めるまで?
そんなこと考えてくれてたんだ。
彼は今日は早く出勤すると言って、その後すぐに出かけて行った。
瑞希くんは私のことを好きだと言ってくれる。
私がこの関係をはっきりさせなきゃいけないんだよね。
……………………〜〜〜〜〜……
「今日は悪いな、付き合ってもらって」
「いいよ、楽しそうだし」
今、とあるキャバクラ店の前に立っている。
葵の元彼を騙している優亜という子が働いている店だ。
実際に優亜という子に会って詳しいことがつかめたらと思い、春人を誘った。
歩夢は元担当だから、優亜って子が覚えている可能性が高い。
ツケで出禁になっていることから、バレて警戒されてしまう可能性が高かったから、連れて来なかった。
「俺も、行きたかったっす」
なんて、歩夢は残念そうにしていたけど。
「いらっしゃいませ」
ボーイに席へ案内をされる。
「何年ぶりかな。キャバ来るの」
春人はどこか楽しそうだ。
「ご指名は?」
とりあえず今日、優亜という子が出勤するのは確認済みだから
「この子で?」
優亜の写真を指す。
「お連れ様は?」
「俺も一緒だから大丈夫です」
「かしこまりました」
一旦、ボーイが席を離れた。
「意外と混んでるんだね」
店内には他にも客がいた。
中高年、俺たちと一緒くらいの年であろう客、様々な客層。
それはホストクラブと同じだった。
しばらくして
「失礼しまーす!」
ピンクのドレスを来た彼女が現れた。
髪の毛は巻かれ、露出の多い胸元が開いたドレスに派手目のメイク。
服装は違うが、写真とほぼ変わらなかった。
まあ、写真の方が盛れているといってもいいか。
加工できるし。
「えー。なんでこんなカッコいい方たちが優亜を指名なんですか?嬉しいー」
周りのキャバ嬢からも視線を感じる。
「偶然SNSで優亜ちゃんのことを見つけて、こいつがすごくタイプなんだって言うから今日は来ました」
こいつと言われた春人は一瞬、怪訝な顔をした。
ごめんと肘で春人をつつく。
「そうそうー。すごく可愛いなって思って。俺たち、今はまだどこの店なのかは言えないけど、ホストなんだっ!結構、人気のキャストなんだよ。同業者だし、仲良くできるんじゃないかなって」
あまり打ち合わせをしてなかったが、さすが春人。上手く話を合わせてくれる。
「えー、そうなんですかっ!すごいっ!」
ホスト相手だからか彼女は嬉しそうだった。
「これからまた仕事なんだ、だからあんまりここにはいられないんだけど。単刀直入に聞くね?俺、マジで君のことを気になっているんだけど、彼氏とかいるの?」
彼女の耳元で春人が他のテーブルに聞こえないように呟く。
そこまで春人が演じてくれるとは思っていなかったから、正直驚いた。
「えっ、いるわけないじゃないですかぁ」
彼女の態度は、満更でもなさそうだ。
彼女は、春人の膝に手を置いた。
「でもさ。なんかSNSに君のことを彼女だって言っているやつを見つけてさ?」
葵の元彼のアカウントページを見せる。
「えっ、違いますよ。人違いじゃないですか?」
全く覚えがないと優亜は答えた。
「そっか。でも二人で写ってる写真もあって」
一瞬、不機嫌そうな顔をし
「載せるなって言ったのに」
ボソっと優亜が呟くのが聞こえた。