どんなに私が元夫にひどい事をされたか、彼女も同情してくれたのに
でも彼女の事だ、私に嫌な思いをさせるチャンスを逃す訳がない
「なんの用なの?それに私の電話番号や職場にまで押しかけてきて!私達離婚したのよ!これ以上付きまとったら警察を呼ぶわよ!」
「君がゆっくり話をきいてくれないからさ、あれほど離婚したくないと言ったのに、君の義姉と父親が入って来て強引に離婚に応じらされたんだ 」
私はたじろぎながら言った
「私が離婚したいと言ったのよ、それにあなたは慰謝料を受け取ったはずよ、今後一切私とは関わらないという条件でね」
俊哉はフイッと顔をそむけた
「あんなはした金なんか何の意味もないよ」
もしかしたら彼は慰謝料を全部使い切ったのかもしれない
その時フワッと彼からお酒の匂いがした、良く見たら目も少しトロンとして頬もほんのり赤い
なんてこと!彼は酔っ払っているんだわ!途端に私の中の警戒心がマックスになった
「あなた!お酒を飲んでいるのね!もう帰ってちょうだい! 」
彼は私の話などてんで耳に入っていない様子だった
「いや~俺も最近ではこの辺に引っ越してこようかなと思ってさ、さっきここのショッピングモールの求人募集見てたんだ、結構条件良い所あるんだな 」
いっきに吐き気が襲ってきた、まさか彼は私の職場付近で暮らそうとしているの?
こんなに大きな人口の街で、別れた夫が自分の近所にいるなんて、考えただけでも虫唾が走る
「帰ってくれないならショッピングモールのガードマンさんを呼ぶわ!それにここは関係者以外立ち入り禁止よ!」
「そう怒るなよ、今日は君の持ち物を持ってきてやったんじゃないか、君に返したくて、よかれと思ってさ、ほら・・・服とかバックとか・・・ 」
「あなたと過ごしていた時に使ったものなんて何もいらないわ! 」
「そんなこと言うなよ・・・俺達あんなに愛し合っていたじゃないか・・・」
ぐいっと手首を掴まれる、途端に恐怖が込みあげてくる
「離してっっ!」
顔から汗がふきだした、なんとか手を振りほどこうとしているのに、彼の力の強さは知っている
一度彼には背骨を折られている、今度は腕を折られてしまうのではないかと恐怖にすくみ上る
「鈴ちゃん?」
その時背後から私を呼ぶ声が聞こえた、私と俊哉は同時に振り向いた
そこにはお店の売れ残りであろう小さな花束を抱えた、柚彦君が立っていた
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