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赤葦side
あれから数十分後、準備が終わったようで全員参加のBBQが始まる。
俺は梟谷のグループで肉を焼いていた。
木兎「赤葦お前全然食べてなくねー?!」
赤葦「そうですね。」
木兎「せっかく美味いんだから食えよー!」
沢山の肉を頬張りながら喋る木兎さん。
(食べ過ぎでは・・・)
赤葦「はい。でも俺以外誰も焼かないと思うんで。」
木兎「そ、そんなことねぇーよー?!」
木兎「ほら、木葉がやるって!!」
木葉「は?!俺言ってねぇわ!お前やれ!」
(木兎さんなりの気遣いだとは思うが・・・)
赤葦「はあ・・・俺のことはいいですから・・・肉焼けたんでどうぞ。」
木兎「おぉー!ありがと!!」
俺は木兎さんの皿に肉をあげて、また俯いて肉を焼き始める。
赤葦「・・・・・・」
が、すぐにトングを机に置いた。
(流石に疲れたな・・・癒しが欲しい・・・)
(ゆりさんは何処だろうか・・・)
木兎「? 赤葦やっぱり食う気になったか!」
(ゆりさんの事を言うと面倒だな・・・)
赤葦「はい。ちょっと離脱します。」
木兎「おー!いってら!!」
俺は少しだけ食べるものを置いた皿を持ちゆりさん探しの旅に出た。
(烏野の方にいるだろうか・・・)
しかしゆりさんが見当たらない。
(ならば音駒・・・もいないか、)
(・・・・・・ゆりさん、ちゃんといるよね?)
俺は一気に鳥肌がたち息が荒くなる。
ずっと溜め込んでいた不安が合わさってしまって、俺は必死にゆりさんを探す。
赤葦「はあ・・・はあ・・・」
ゆりさんがほんとは居なくて、誰も記憶にも残ってなくて・・・そんな事を変と分かっていても考えてしまい怖くなる。
(・・・ゆりさんは、ずっと明るくて、木兎さんみたいなスター性を持った人だ。)
(あの人が居なくなるなんて絶対ない。)
俺は体育館裏から少し離れた木に向かう。
(・・・けど、時々あの人が儚くて薄くて、急に消えてしまいそうで、)
(・・・凄く凄く、怖くなる。)
息を荒くした俺は、ある木の前で止まった。
西川side
BBQ会場から少し離れたところにある木でご飯を食べていると、下から物音がする。
『! 京治さん?!』
そこには息が荒く真っ青な赤葦さん。
私が焦って声をかけると、目がバチッと合って酷く安心したような声を出す。
赤葦「っはあー・・・・・・」
『こんにちはー!ご飯食べないんですか?』
赤葦「・・・うん、食べるよ。」
赤葦「それよりなんでそんなとこいるの?」
『ふっふっふ!ちょっと来てください!』
私は下に向かって手を出し、赤葦さんはその手を頼りに私の隣へ座った。
2人が乗っても安心感がある大きな枝。
赤葦「びっくりしたよ。俺がどこ探してもいなかったから。」
『え、そうだったんですか!すみません!』
赤葦「いいよ。笑 で、何でこんなとこ?」
赤葦さんが首を傾げる。
私はゆっくりと息を吸って前を向いた。
『ほら!見てください前!』
赤葦「・・・おぉ」
『すごくお気に入りなんです!ここ!』
前を向くと、少し遠くに見えるのはみんながBBQをしている景色が見えた。
優しい木漏れ日が風と共に差し込む。
赤葦「・・・面白いね。」
赤葦「みんなのこと見るの好きなの?」
『んー・・・それもそうですけど・・・』
赤葦「けど?」
サアアァという音ともに涼しい風が通る。
私はみんなを見ながら優しく口角を上げた。
『・・・こうやって見てると、一人一人個性があって、面白いなぁって。』
『皆の性格が分かって、好きだなぁって!』
赤葦「・・・・・・うん。」
『私!全人類と仲良くなりたいんです!』
『て、いうか、私出会った人みーんな好きで、みんなの性格とか分析しちゃうんです!気持ち悪いですよね!笑』
『・・・でも、やっぱ好きだなぁって。』
赤葦「・・・・・・・・・」
私が喋り終わると、しばらく黙ってしまう赤葦さん。疑問に思い首を傾げる。
『・・・京治さん?』
(き、気持ち悪がられたか・・・!?)
赤葦さんはゆっくりと顔を上げた。
赤葦「・・・優しいね、ゆりちゃんは。」
頬を軽く染めながら微笑む赤葦さん。
突然のちゃん呼びとひどく優しい笑顔にドキッとしつつ、私は口を開く。
『え!何言ってるんですか!』
『京治さんも信じられないほど優しいじゃないですか!』
赤葦「・・・いや、俺はそんなんじゃないよ。」
赤葦「俺は・・・・・・」
顔に影がかかり一気に顔が暗くなる赤葦さん。でも、それだけじゃない気がした。
私は少し考えてから、体ごと前を向く。
(赤葦さんは、きっと何かを抱えてるお人。)
(最近ずっと顔が暗かった。)
『・・・京治さん。私は今からカカシです。』
赤葦「・・・は?」
『カカシは何を言っても答えません。聞こえません。だから、なんでも言ってください!』
赤葦「ぇ・・・・・・」
(ちょっとでもはけ口に・・・!)
私は不器用ながらなんとか聞き耳を立てる。
数十秒沈黙が挟まったあと、ゆっくりと赤葦さんが口を開いた。
赤葦「・・・木兎さんを慰めるのは面倒臭い。」
赤葦「なのに先輩はいつも俺に押付けてくる。辞めて欲しい。」
(ふふ、)
思わず笑ってしまう。赤葦さんは続ける。
赤葦「俺はバレーの才能がないと思う。ドンピシャも、完璧なトスもできない。」
赤葦「俺がもっと完璧であれば、もっと上手くあれば、木兎さんは輝けるのに。」
(「俺が」「俺が」・・・ずっと言ってる。)
(京治さんはやっぱり・・・)
私が少し落ち込んで下を向く。
その瞬間、赤葦さんの声が耳に入ってきた。
赤葦「あと俺は・・・」
赤葦「恋愛的に西川ゆりちゃんが好き。」
『・・・え?』
(え?え?今京治さん、京治さん、私のことが好きって、?)
(・・・ん?え?好き・・・スキってなに???)
私が思わず声を出し赤葦さんの顔を見ると、赤葦さんはこちら向いてニヤッと笑う。
赤葦「あれ、カカシは喋らないんでしょ?」
『え、いやだっていま・・・』
私はみるみる内におでこまで真っ赤になる。
赤葦「まあちゃんと言うね。」
ガシッ 『え』
赤葦さんは後ろに逃げる私を優しく腕を掴んで捕まえぐいぐいと近寄る。
ここは枝の上。もう逃げられない。
(か、カオ近・・・っ!!)
『え、え、あの、』
赤葦「ゆりちゃんの優しいところも、明るいところも、すぐ赤くなるところも、」
赤葦「中身も外見も、全部好きです。」
『ぅえ、え、えぇぇ・・・///』
赤葦「・・・俺と、付き合って欲しいです。」
(う、うそ、!?嘘かな、!?!)
どんどんと詰め寄ってくる赤葦さん。
私は思わず顔を隠してしまうが、失礼だと思いなんとか口を開く。
『・・・ぅわ、わた、私は・・・』
『しょ、正直恋愛的に好きって言うのがよく分からなくて・・・京治さんが、好きかは・・・』
赤葦「分からない?」
『はゃ、ひゃいっ・・・』
(か、顔熱っ、消滅する・・・!)
なんとか言い終わると、赤葦さんが黙る。
顔から手を話せないでいると、赤葦さんにゆっくりと手を離され目を合わせられる。
『!?、!?』
じっと見つめてくる赤葦さんに、胸が破裂しそうなほど鼓動が早くなり、私は限界を迎えてしまった。
『も、もぅ無理です・・・、!!』
赤葦「え!? ちょ、ゆりちゃん!?」
枝から飛び降りる私。
赤葦「あ・・・良かった・・・」
受身をとって熱が出そうなほど熱くなる顔を抑えながら、私は会場に逃げた。
赤葦「怪我は・・・無さそうかな・・・」
赤葦「・・・あー、告白してしまった・・・めっちゃ赤かった・・・かわいすぎる、、」
私は顔が冷めきらないまま会場に着く。
ちょうど近くにいた黒尾さんが私に気づいた。
『はあっ・・・はあっ・・・』
黒尾「オー、お嬢さんどこにいたの・・・って」
黒尾「どうした!?そのカオ!?」
頬と耳が赤い私。驚くのも無理はない。
『う、ぇっ、と、』
『きっ、気にしないでください・・・!』
黒尾「いやいやムリですよ・・・」
自分のジャージを頭にかける黒尾さん。
黒尾「とりあえずこれ被せてといて。それ治まるまでここに来るの禁止!」
黒尾(可愛すぎて他のやつに見せたくねー、)
そのまま私はぐいぐいと黒尾さんに背中を押され、体育館に入れられた。
『ええぇ!なんでですかー!!』
黒尾「なんでも〜。」
黒尾「治ったら一緒に肉食おうぜゆりサン。」
『分かりましたよー・・・』
私も頭の整理しなきゃな、と思い数分待ってから、そのあともBBQを楽しんだ。
終わり.