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夜。真っ暗な部屋の中で、涼ちゃんはベッドの上に座っていた。
携帯の画面が顔を淡く照らしている。
通知は鳴らない。誰からも連絡はない。
スタジオでみんなが笑っていた昼間の光景が、ふと脳裏に浮かんで消える。
あのとき、自分も笑っていたはずなのに──どこかで、自分だけ薄く透明だった。
「なんか最近、元気ないね」
若井の言葉が頭の奥で響く。
優しい声のはずなのに、今の涼ちゃんには痛い。
“元気ない”って、どうしたら元気になれるんだろう。
寝ても疲れが取れない。
ご飯の味もしない。
ステージに立っても、光が遠い。
誰にも言えないまま、メモ帳のページに言葉を落としていく。
「大丈夫」って書いて消す。
「助けて」って書いてまた消す。
沈黙の中で、心だけが少しずつすり減っていく。