テラーノベル
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episode #2 start
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長尾謙杜side
同棲って、もっと静かなもんやと思ってた。
一緒にご飯食べて、
それぞれの時間があって、
気づいたら同じ空間におる、みたいな。
でも、みっちーと住み始めてからの毎日は、
思ってたんと全然ちゃう。
朝。
目覚めた瞬間、視界に入るのは道枝駿佑の顔。
「……近」
そう言う前に、先に言われる。
「おはよ、長尾」
声、低くて柔らかい。
「まだ眠そう。可愛い」
「朝から言うなや……」
布団から出ようとしたら、
手首掴まれる。
「もうちょい」
「遅刻する」
「5分だけ」
その“5分”が、毎日ある。
嫌ちゃう。
嫌ちゃう、はずやのに。
会社行く準備してる時もそう。
俺が鏡見て髪直してたら、
後ろから覗き込んできて、
「今日も顔ええな」
「……毎日言うやん」
「毎日思ってるから」
即答。
冗談っぽく言うけど、
目、全然冗談ちゃう。
仕事から帰ってきても。
「おかえり」
玄関で迎えられて、
自然に抱き寄せられる。
「疲れた?」
「まぁ……」
「可愛い」
また。
その言葉が、
だんだん胸に溜まっていく。
夜、ソファで並んで座ってても、
俺がスマホ触ってたら、すぐ覗く。
「誰と連絡?」
「仕事」
「ふーん」
不満そうな声。
「……なに」
「別に」
別に、の割に距離は縮まる。
肩、くっつく。
腕、絡まる。
前なら平気やった。
むしろ、嬉しかった。
でも最近、
一人になる時間が、ない。
俺がトイレ行こうと立っただけで、
「どこ行くん」
「トイレ」
「すぐ戻ってきてな」
……なんで?
心の中で、そう思ってしまう自分がおる。
みっちーは悪くない。
ただ、好きなだけ。
それは分かってる。
分かってるからこそ、
言えへん。
「ちょっと放っといて」
「距離欲しい」
そんなこと。
言ったら、
傷つくって分かるから。
夜、電気消して並んで寝てる時。
みっちーが、俺の背中に腕回してくる。
「……長尾」
「なに」
「この生活、ええな」
小さく笑って言う声。
「ずっと一緒やな」
その言葉に、
胸がぎゅっとなる。
嫌ちゃう。
嫌ちゃう、はずやのに。
でも、
息、詰まりそうになる。
「……なぁ、みっちー」
そう呼びかけたけど、
続く言葉が出てこない。
結局、
「なんでもない」って言って、
目閉じる。
背中越しに伝わる体温が、
今日はちょっと、重かった。
この時の俺はまだ、
“やめてほしい”なんて
ちゃんと形にして考えてへんかった。
ただ、ぼんやりと。
このままやったら、
いつか、言ってしまう気がする。
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episode #2 finish
𝐍𝐞𝐱𝐭…🩷💛𓈒 𓏸
コメント
2件
みっち ~ の でれ好きです !! ✨️