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『貴方想い、散りゆく恋』〜身分違いの恋だとしても〜
※6話の後の主様とそれぞれの担当執事で
番外編を作ってます。
番外編 〜ボスキ side〜
『主様…。顔を見せてくれねぇか?俺に出来ることがあるならしたいんだ。』
『……。』
『俺は主様の担当執事だ。頼ってくれ。』
『ぅん……っ。』
ベットの中ですすり泣く主様に声をかけ続ける。
『…今は辛いと思うが、俺は主様の味方だ。どんな時でも、な。』
『うん、うん…。』
私はベットから出てボスキを見つめる。
『ほら、主様。』
俺は両手を広げる。
『……?』
『今は存分に泣いていい。俺の胸の中で。』
『ボスキ……っ。』
私はボスキに抱き着いた。
『よしよし……。』
俺は主様を撫でる。
(主様を泣かせるやつは許さねぇ。
例え貴族でも。誰であってもだ。)
番外編 〜ロノ side〜
コンコンっ。
主様の部屋のドアをノックする。
『主様、今日も食べれませんか?』
『ごめん…。』
『……。』
(せっかく主様の好きな物作ったのに…。)
俺は主様のドアの前に置いた朝食を下げる。
『フィンレイ様…。』
小さく聞こえた、主様の鳴き声に交じった名前。
『……っ。』
(くそ…。俺じゃダメなのかよ…。主様を傷つけたフィンレイ様のどこがいいんだよ…っ。)
ギュッと口を噛む。
『俺は主様のなんなんだろうな…。』
次の日――。
『このままじゃ身体壊しちまう。無理にでも食べさせねぇと。』
俺は夜ご飯を持って主様の部屋に向かう。
コンコンっ。
『主様、入りますよ。』
『ロノ…?ご飯なら要らない。食欲ないの。』
『ダメです、今日は食べて貰います。』
『……。なんで放っておいてくれないの。』
『それは…っ。』
(好きだからなんて言えるわけねぇし…。)
『主様の担当執事だからですよ。』
『執事なら私の気持ちを分かってよ……っ!』
『っ!』
ガチャっ!
『主様のことを心配して何が悪いんですか!フィンレイ様なんか忘れればいいのに…。』
『っ、フィンレイ様は…何か事情が…。』
『…そんなに忘れられないなら俺がそんな悲しい記憶忘れさせてあげますよ。』
『え…?』
俺はおぼんをテーブルに置いて主様のベットに乗っかる。
『何する、つもりなの…?』
逃げようとする主様の手を掴み、ベットに押し付けた。
ギュッ…。
『ロノ、なに、やめ……。』
『フィンレイ様なんか忘れてください。主様を傷付ける人なんか……。』
俺は主様の唇にキスしようとした。
っぅ……。
『…!!』
突然流れた『それ』に我に返る。
『やめて……っ。ロノ…。』
『っ…!すみません…!俺、どうかしてました。我を失って…っ。でも、主様のことを心配してたのは嘘じゃないです。その、頼って貰えないのが悔しくて…っ。』
『分かってるよ…。ありがとう。ごめんね。』
『主様…。』
『ご飯、食べてもいい?』
『もちろんです!』
(今は俺に出来ることをしよう。主様のためになる事を。)
番外編 〜ナック side〜
『すぅ、すぅ…。』
『ふふ、泣き疲れて寝てしまわれたのですね…。大丈夫ですよ。このナックがずっとそばに居て差し上げますから。貴方がそれを望むなら…。』
数時間前――。
『ナック…。今だけ、私の傍に居て欲しい。』
『もちろんですよ。今だけとは言わずいつまでもいますよ。』
『ありがとう…。じゃあ…膝枕して欲しい。』
『!』
(執事としての一線を超えてるかもしれませんが…主様がそれを望むなら…。)
『かしこまりました。』
私は主様の頭を膝に乗せる。
『私の何がいけなかったのかな。やっぱり、身分違いの恋は報われないね。ただ…。好きな人を好きでいたかった…それ、だけだった、のに…っ。う、うっ…。』
主様の言葉に涙声が混じる。
『主様…。』
(私にしませんか。なんて、口が裂けても言えません。言ってしまえば最後きっと私は止まれない。この方を傷つけてしまいそうだ。)
『うっ、うっ…フィンレイ様…どうして…っ。』
『今は私に身を任せてください。主様なら…大歓迎ですよ…。』
『うん…ありがとう…ナッ…ク…。』
『今はゆっくりなさってください。』
主様の手をぎゅっと握る。
『すぅ、すぅ。』
(寝顔も美しいですね。ずっと独り占め出来たら尚良かった…。この気持ちはずっと言えないままですね…。今は私の気持ちより、主様が大事です。私が癒してあげますからね。)
次回予告
『私なら泣かせないのに…。』
『俺に出来ることならなんでもしますからね。』
『我を頼れと言っただろう。』
続く…。