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『貴方想い、散りゆく恋』〜身分違いの恋だとしても〜
※6話の後の主様とそれぞれの担当執事で
番外編を作ってます。
番外編 〜ベリアン side〜
『ぐすっ。ひっ、く、ひっ…っ。』
主様の部屋から鳴き声が聞こえる。
『主様…っ。』
(私にできることなんて、ないんでしょうか……。執事として、貴方に何が出来るでしょうか。私なら泣かせないのに…。)
『教えて下さい…っ。主様……。』
ドア越しに声をかけた。だけど、泣き声で掻き消されてしまう。
(私は主様の執事です。貴方を癒し、救うのが私の務め。)
私は燕尾服を翻し、キッチンへ向かう。
コンコンッ。
『!』
『主様。私です。ベリアンです。』
『ベリアン…?』
『今は…誰にも会いたくないかもしれませんが、私は主様がずっと泣いてるのは…見ていられません。』
『っ…!』
…ガチャッ。
『!主様…。』
『…紅茶淹れてくれたの?』
『はい。主様の好きなローズヒップティーをお持ちしました。それに会うマドレーヌを用意しましたよ。』
『……。』
(甘い香り……私の為に…。)
『ありがとう…ベリアン。』
主様はニコリっと微笑む。
(貴方の笑顔が見れるならそれでいいんです。だから、私のこの気持ちは――伝えてはなりませんね。)
番外編 〜フェネス side〜
『フェネス…私、私…っ。フィンレイ様に嫌われちゃったのかな…っ。』
主様は俺に泣きつく。
『そんな事ないですよ。きっと、何か龍があるんです。フィンレイ様が主様を嫌うことなんて有り得ませんよ。』
俺は主様の頭を撫でる。
『よしよし…。今は俺に甘えてください。』『うん…っ。』
(俺に出来ることならなんでもしますよ。
どんなことでも。主様が望むなら。)
『……。』
『?主様?あ…。』
どうやら、泣き疲れて寝てしまったようだ。
『…おやすみなさいませ。今はゆっくりお休みになってください。』
『フィンレイ、様…。』
『……。』
ツキン…ッと、胸が痛む。
(それ程までに、フィンレイ様の事がお好きなのですね…。)
俺は主様をお姫様抱っこして自室に向かう。
(俺なら…貴方の事を悲しませたりしませんよ。ずっと……好きでいます。だから俺を……。…なんて。)
『口が裂けても言えないよね…。』
番外編 〜シロ side〜
コンコンッ。
『おい。居ないのか。』
主の部屋に行ってノックをしたが返事がない。
『…入るぞ。』
ガチャッ
『すぅ、すぅ…。』
『寝ていたのか。どうりで静かな訳だな。』
『……フィンレイ…様…。』
寝言でそう呟いた。
ポロッ…。
その名前を口にした後、つぅ……と涙が零れる。
『名前だけで泣くくらいなら…そんな男など忘れてしまえ。』
主の涙を指で拭う。
『辛いなら、我を頼れと言っただろう。…戯け。』
スッ
主の髪をすくい上げ、髪にキスをする。
『我の気持ちを蔑ろにするな。我はお前を選ぶぞ。どんな男より…幸せにしてやる。』
(我以外を選ぶなんて許さん。…だが、
我はお前の幸せを望んでいる。お前が幸せなら、それで良い。)
次回予告
『俺が守りたいものは……。』
『僕じゃダメなんだよね…っ。』
『私では力不足ということでしょうか?』
続く…。