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第55話、読ませていただきました!センバツ出場おめでとうございます…!って思わず画面に向かって言いたくなるような高揚感と、福間監督の「まだ弱い」という一言でぐっと引き締まる感じがたまらなかったです。塁くんが空を見上げて去年の夏を思い出すシーン、ここがすごく好きでした。あの悔しさがあるからこそ、冬の地味な練習を誰も手抜きしなかったんだなあって。春はもうすぐですね。次の一歩が楽しみです🌷
第55話 「春への切符」
2022年1月。
冬の柳城高校。
グラウンドには冷たい風が吹いていた。
それでも野球部員たちは白い息を吐きながら走る。
センバツ出場校発表の日。
練習は午前で切り上げられた。
午後。
視聴覚室。
野球部員たちが集まる。
福間監督もいる。
佐伯。
塁。
史陽。
全員がテレビを見つめていた。
発表が始まる。
一校ずつ名前が呼ばれる。
九州地区。
緊張が高まる。
そして。
「柳城高校」
アナウンサーの声が響く。
一瞬の静寂。
次の瞬間。
大きな拍手が起こった。
センバツ出場決定。
選手たちの顔に笑顔が広がる。
しかし。
福間監督だけは落ち着いていた。
「おめでとうございます!」
部長が言う。
福間監督は頷く。
「ありがとうございます」
それだけだった。
発表後。
選手たちはグラウンドへ戻る。
佐伯が声を出す。
「甲子園行くぞ!」
「おおー!」
大きな声が響く。
だが塁は空を見上げていた。
去年の夏。
決勝で負けた甲子園。
あと一歩届かなかった場所。
その悔しさは消えていない。
冬の練習は厳しかった。
走る。
振る。
投げる。
また走る。
地味な毎日。
それでも誰も手を抜かなかった。
ある日。
おっちゃんの店。
野球部員たちが集まる。
センバツ出場祝いだった。
店内は大賑わい。
新聞記事も飾られている。
「また甲子園やな」
おっちゃんが笑う。
「今度は優勝ばい」
誰かが言う。
その言葉に選手たちも笑った。
しかし。
福間監督だけは静かだった。
帰り際。
おっちゃんが聞く。
「監督、どうね?」
福間監督は少し考える。
そして答えた。
「まだ弱いです」
おっちゃんが苦笑する。
「厳しかなあ」
福間監督も少しだけ笑った。
だが本音だった。
甲子園で優勝するには。
まだ足りない。
本人が一番分かっていた。
二月。
柳城高校野球部は宮崎で強化合宿を行う。
全国制覇へ向けた最後の土台作り。
その中で。
塁の球速はさらに伸び始める。
史陽の守備も安定感を増していた。
そして福間監督は確信し始めていた。
この世代は。
もしかしたら。
柳城の歴史を変えるかもしれない。
春は近い。
甲子園も近い。
だが全国制覇への道は、まだ始まったばかりだった。
第55話 終
#高校生