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第56話 「春の頂点」
2022年3月。
第94回選抜高校野球大会。
柳城高校は九州王者として甲子園へ乗り込んだ。
昨夏は準優勝。
あと一歩で届かなかった日本一。
選手たちは、その悔しさを忘れていなかった。
一回戦。
柳城は東北代表を破る。
塁の好投。
史陽の堅い守備。
危なげなく初戦突破。
二回戦。
関東の強豪との接戦。
延長戦までもつれたが、佐伯の決勝打で勝利。
準々決勝。
優勝候補との対戦。
終盤までリードを許す。
しかし八回。
集中打で逆転。
柳城の粘りが光った。
準決勝。
近畿の名門と激突。
投手戦となった試合は延長十一回へ。
最後は犠牲フライによるサヨナラ勝ち。
甲子園決勝進出。
2大会連続の甲子園決勝だった。
福岡では大きな話題になっていた。
おっちゃんの店も連日満席。
テレビ局の取材まで来る。
そして決勝。
相手は神奈川の名門・横浜東海高校。
全国屈指の強豪だった。
試合は壮絶だった。
柳城が先制。
追いつかれる。
再び勝ち越す。
また追いつかれる。
最後までどちらが勝つか分からなかった。
九回。
同点。
二死二塁。
打席は史陽。
ショートへの内野安打。
二塁走者が生還。
柳城勝ち越し。
その裏。
塁が最後の打者を三振に打ち取った。
ゲームセット。
柳城高校。
春のセンバツ優勝。
全国制覇。
甲子園の空に校歌が流れる。
選手たちは涙を流した。
昨夏の準優勝。
あと一歩届かなかった日本一。
その悔しさがあったからこそ、この優勝があった。
表彰式。
優勝旗を受け取る主将・佐伯。
その姿を福間監督は静かに見つめていた。
柳城再建。
甲子園出場。
全国準優勝。
そして全国優勝。
長い道のりだった。
帰りの新幹線。
選手たちは疲れて眠っていた。
窓の外を眺めながら、福間監督は思う。
これで終わりではない。
全国王者になった今日から。
柳城は追われる立場になる。
本当の試練は、これから始まる。
第57話 終
コメント
1件
第56話「春の頂点」、読了しました……もう、涙が止まらないです😭💕 一つ一つの試合の積み重ねが、最後の史陽の内野安打と塁の三振に結実する流れ、めちゃくちゃエモかったです! 「悔しさがあったからこその優勝」って言葉、心に刺さりました。 福間監督の「これで終わりではない」というラストも、続きが気になりすぎます。 本当にお疲れ様でした、天海さん! 最高でした🌸
#高校生