コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
プロット
なにかのタイミングで自分が生まれる数年前に来てしまった末左子が、文豪たちの頭を捻らせる話
はじめに
末左子の容姿↓
谷崎の娘さんの名前が出てきます。
コツ、コツ、と、天国・明治地区の石畳を、
オオルリの髪をきらめかせ、波打たせながら、それはそれは優雅に、金木犀の香を振り撒いて、十五歳の少女はブーツで歩いていた。
周りの人々は、あら、見ない顔ね。とか、べっぴんだなぁ、とか言う声が聞こえてくる。
その少女の正体は、耽美小説家として有名な谷崎潤一郎と、その妻で名前が文学賞の名にも冠されている、芥川龍之介との間に生まれた実の娘だ。
ただ、一個だけ、この時代の人には言えない事実がある。
それは……
ということである。
その頃、夏目宅の縁側では、家主の夏目に谷崎、芥川が集い、雑談をしていた。
「谷崎。今日は夏目先生に原稿を見てもらう約束をしていた。だからどけ。」
「はあ?ちょっとぐらい…別に良いじゃないか」
「だがな…………お前と駄弁っていても、先生の執筆時間が短くなるだけだ。」
「芥川君。今日は土曜だよ。来るんなら木曜日と、いつもいつも…」
「あーあー、俺は居なくなりゃいいんだろ?わーったよ。」
「……芥川君、放っておいていいのかね?」
「大丈夫ですよ。どうせ厠でしょう。」
会話に一段落ついたところで、芥川が早速相談している。
だが、それも縁側からの影により中断された。
一体なんだ、と思いながら、芥川が影に顔を向けると、じぶんにそっくりな容姿をした、和装の少女がこちらを窺うように見ていた。
そして、この一言に余計驚いた。
「お母様、家に帰りましょう。」
一瞬、芥川、夏目の頭の中は真っ白になった。
「お母様?早く帰りましょう?」
そういいながら、青髪の少女は、芥川の左手首を引っ張って、帰ろうとした。
「い、」
「いやいやいやいやいや、待て。」
なんとか掴まれた手首を振り払い、少女に、こう質問する。
「君は………………………何者だ?」
「そもそも、何故僕を呼んでいる?」
その問いに対し、キョトンと…いや、後の状況を考えると、「この人は何を言ってるんだろう?」と言うような顔をした。
「?だって、雄豚が………いや、お父様が、早く帰ってこさせろ、と…」
その時、ギシ、という音がした時点で、谷崎が来たと気付くべきだった。
「良い罵倒だ………………………」
「え?お父様?なんでこっちに…屋敷に居たはずじゃ、」
「あ、あぁ…父娘プレイが良いのか?なら、俺、いやわたくしめはお嬢様とお呼びしたらよろしいでしょうか……?」
青髪の少女も、顔がひきつり、苦笑いしている。
「………………………………嗚呼…遂に娘にまで手を出し始めましたか…」
「娘……………?」
娘、という言葉が聞こえた為、少し冷静になったらしい。
鮎子…いやちがう、恵美子も完全に違う…いやそもそも、背丈が違う…
「おい、」
ドスの利いた声に少し驚いたらしく、ピク、と肩を震わせた。
「姓名を言え。」
はぁ、とため息を出す少女。
「遂に、ボケました?」
一拍おいて、皆が固唾を呑み、見守る中で、こう、高らかに、宣言した。
「谷崎未左子、ですが。」
三者の眼が、驚きに染まったのは言うまでもないだろう。
あとがき
三人が驚くのを書きたかっただけかもしれない。