テラーノベル
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Snow Manという物語のもう一つの軸、
「いわふか」の絆に隠されていた、苦くも温かな結末を描きます。
第1章の深澤さん視点のお話。
深澤さんは、岩本さんの隣に立つことが当たり前すぎて、自分の胸にある感情が「友情」を超えていることに、長い間蓋をしてきました。しかし、渡辺さんと目黒さんの間で起きた激しい愛憎劇を目の当たりにし、深澤さんは恐怖を感じました。
(……あんな風に壊れてしまうなら、俺はこのまま「シンメ」でいい)
そう自分に言い聞かせ、岩本さんへの想いを永遠に葬ろうとした夜。阿部さんが、暗い楽屋で深澤さんに声をかけました。
「ふっか。……照への気持ち、諦めるつもり?」
阿部さんの手には、深澤さんが無意識に岩本さんを見つめる瞬間ばかりを切り取った監視データの断片がありました。
「僕のシナリオには、照を支える君の『献身』が必要なんだ。……君が照を繋ぎ止めておいてくれないと、僕の『ゆり組観測』に支障が出る。……わかるよね? 君の恋心を、グループの平穏のために利用させてもらうよ」
阿部さんの冷徹な脅迫。深澤さんは、自分の恋心が「軍師」の駒として利用されることに絶望しながらも、岩本さんを失わないために、その歪な役割を受け入れたのでした。
阿部さんの事件が収束し、Snow Manが新たな一歩を踏み出したある夜。 深澤さんは、岩本さんの自宅で二人きり、簡単な食事を囲んでいました。阿部さんの支配から解放され、ようやく訪れた穏やかな時間。
「……ふっか。お前、この数ヶ月、ずっと無理してただろ」
岩本さんが、箸を置いて真っ直ぐに深澤さんを見つめました。
「阿部が何を考えてたか、全部は知らない。でも、お前が俺のために何かを犠牲にしてたのは分かってた。……お前はいつも、俺の背中ばっかり見てるからさ」
「……何言ってんだよ、照。俺は別に……」
誤魔化そうとする深澤さんの手を、岩本さんが力強く、けれど壊れ物を扱うように優しく包み込みました。
「俺、翔太たちのことを見てて思ったんだ。いつか言おう、明日言おうなんて思ってたら、いつの間にか手が届かなくなる。……後悔したくないんだよ」
岩本さんの瞳には、いつものリーダーとしての厳格さはなく、一人の男としての、不器用で真っ直ぐな誠実さが宿っていました。
「シンメとして隣にいるだけじゃ、もう足りない。……俺は、お前と一緒に生きていきたい。……ふっか。俺と、家族以上の関係になってくれないか」
深澤さんの瞳から、堪えていた涙が溢れ出しました。 阿部さんの脅迫でもなく、役割としての献身でもなく。ただの「深澤辰哉」として、世界で一番欲しかった言葉。
「……遅いよ、照……。俺が、どれだけ我慢したと思ってんの……っ」
深澤さんは岩本さんの胸に顔を埋め、子供のように泣きました。 岩本さんはそれを大きな体で受け止め、静かに、愛おしげに深澤さんの背中を撫で続けました。
エピローグ:新しい夜明け
「いわふか」の二人は、渡辺さんや宮舘さんのような「心中」や「狂気」は選びませんでした。 彼らは、互いを支え、グループという居場所を最後まで守り抜く、
「現実的な愛」を選んだのです。
後日、それを聞いた阿部さんは、少しだけ寂しそうに、けれど満足げに微笑みました。 「……結局、僕のシナリオ通りにはいかなかったね。……おめでとう、二人とも」
九人のSnow Manは、それぞれの歪みを抱えながら、それでも手を取り合い、新しい朝を迎えます。
【完結】
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