コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
いつもは退屈だった事もあの人に会えると思えば何ともなくなった。早く一日が過ぎないかと指折り数える日々。そしてようやくあの人にまた会える日が来た…。
今日は生憎の雨だ。あの人の所に行く道筋は雨のせいで足場が悪く途中つまずいたりして着ている服が少し汚れてしまっていた。
しかし一番大事なカメラだけは落とさずに慎重に運んでいた。これが無ければ意味がないからだ。
前よりかは時間がかかってしまったがようやく見覚えのある景色が見える。やはり晴れていた時とは違って今日は薄暗くて少し気味悪さを感じた。
雨のせいで視界が悪くあの人が縁側にはいるか確認は出来なかったが、俺は前と同じように縁側から向かう事にした。
「あの…こんにちは。」
畳の部屋の襖が閉じられている為、そこにあの人がいるかはわからなかったが声をかけてみる。しばらくするとゆっくりと襖が開いていき、隙間から綺麗な着物が見える。
「来てくれたんだね。嬉しい…けど服汚れてない?」
「あぁ、足場が少し悪くて…でも平気なので。」
「雨にも濡れてるし…風邪引いちゃうね、ほら上がって?」
「えと…」
「ほら、早く。」
俺はそう促されて靴を脱ぎ畳の部屋に上がった。上がった途端俺の服を脱がそうとする着物姿の人に焦り手を払ってしまう。
「あ…ごめんなさい、ビックリして…」
「いきなりだったからごめんね。でも風邪引いちゃうからさ…ほら脱いで?」
「いや、本当に大丈夫なんで…って、ちょっと、聞いてます?」
俺の断りなんて聞こえていない素振りで服を脱がす手を止めないでいる。俺は慌てて着物姿の人の手を握り阻止すると、ゆっくりと顔を近づけて鼻と鼻がくっつくかぐらいの距離で止まる。
「…僕といい事したいなら、言う事聞いて?」
「…いい事?」
「…したくないの?」
「したい…です。」
「なら、服脱いで。」
俺は前回の戯れを思い出し頭の中は“いい事”でいっぱいだった。言われた通りに服を脱ぐと着物姿の人がベルトに手をかける。
「え、し、下も?」
「そうだよ。見て?膝まで濡れてるし。乾かしておいてあげるから。」
俺はされるがままにズボンを脱がしてもらう。着物姿の人は丁寧に俺の服をかけてくれていた。俺はパンツ一枚で少し恥ずかしくなり三角座りで体を隠すように座った。
「ふふ。なに?恥ずかしいの?」
「…そりゃ。」
「これ、羽織なよ。」
渡してきたのは綺麗な柄の着物だった。すごく高そうで袖を通すのも怖い。俺は大きく首を振り着れないと断ると優しく背中に着物を被せてくれる。
「風邪引いちゃうから。」
「でも…これすごく高そうで。」
「これしかないから…ごめんね?でも、君にとても似合うと思ったんだ。」
そう言うと彼の手が俺の足に触れ膝から太ももへと下っていく。自然と足を開く俺に優しく笑う彼はとても綺麗で可愛かった。
見惚れていると俺のカメラを持つ手に彼の手が当たる。視線を彼に向けるとニッコリと笑い耳元で“前回のリベンジしよっか”と甘い声で囁かれる。
「…次はちゃんと撮ってね。」
俺の肩を床に押さえつけて押し倒される。馬乗りになった彼の着物は少し着崩れしていて妖艶さが更に増す。
そして俺はゆっくりとカメラを彼に向ける。
第4話へ続く。