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「いつ行くのがいいだろうか?」
「私はいつでも……。貴仁さんには無理を聞いてもらっているので……」
あまりにも夢みたいでと思うと、少しでも自分本位の振る舞いを通したりしたら、この夢からふいに覚めてしまいそうで、何も言えなくなる。
「どうした黙ったりして。別に無理なんてことはないのだから、君はもっと思うままを私に言ってくれていい」
「思うままを……」……どうして私がそんな風にも感じていたことを、彼はわかってしまうんだろうと──。
「それに、式の主役は君なのだから、何も気に病むことなどない」
テーブルに置いていた私の手に、彼の手がそっと重ねられると、胸につかえていた不安がすーっと下りていくようにも思えた。
「貴仁さんは、お仕事は忙しくないんですか?」
「ああ、このところは落ち着いているから」
「そうなんですね……」と頷いて、しばらく日にちはいつにしたらと考えてみた。
「なら、次の日曜日でどうですか?」
またお父さんにはせっつかれるかもしれないし、貴仁さんもせっかく早い方がいいと言ってくれたんだからと、そう提案をした。
「では日曜にしようか。楽しみだな」
彼がふわりと笑みを浮かべる。
その柔らかな笑い顔に、つい視線を奪われていると、
「問題も解決したので、デザートがまだだったから、食べていかないか?」
彼からメニューが手渡されて、私がスイーツ好きなことまで本当になんでもお見通しでと感服しつつ、「はいっ!」と、とびっきりな笑顔で返した。