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誰かと誰よりも仲良くなるのに必要な時間は200時間だと、どこかの誰かの研究発表だったかレポートだったか何かで聞いたことがある。


実際200時間って聞いてみたら膨大な時間のように感じるけど、24時間一緒に居たら8日と8時間だけなんだよね、思ったより短いよね。




って、亮平が言ってた。



꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳



毎晩、蝉の鳴く声が鬱陶しい。

自分の生涯が終わるまでの7日ちょっとの間、まるで生きがいが鳴くしか無いかのように毎日のように自分はここに居るんだと主張して、生を全うする。

けれど、自分の生きがいも見つけられずただ淡々と日々を送る俺に比べたら、蝉の7日間という短い人生のほうが俺の生涯に比べれば充実しているのかもしれない。


亮平が転校してきて2週間、夏休みが始まった。



大「頭良くて紳士とか神様は何物を与えたんだよ…」


蓮「あははっ笑 たしかに笑」


亮「も〜、早くやらないと終わらないよ〜?」


照「佐久間は勉強嫌いだもんな〜笑」


大「だってまだ夏休み始まって3日じゃんか〜」


亮「こういうのはコツコツやらないと!」


大「最終日に本気出す方が効率いいじゃん…」


蓮「相当やりたくないんだね笑」


亮「自分で解くから力になるんだよっ!」


亮「あっ、めめここ違う!」


蓮「え?うっそ、自信あったのに。」



勉強が苦手な俺たちのために亮平が提案してくれた宿題をやろうの会、めめの家でやる事になってみんなで集まってる。照とめめはノリ気で宿題を進めているけど俺はなんだか気が乗らない。


机に突っ伏して問題から逃げ続ける俺と、

ヒントを見ながら問題を解き続ける照、

自信ありげに問題を解いて間違えるめめ、

そんな俺らの世話をする亮平。


2週間の間に俺、照、めめ、亮平は完全に打ち解けた。1回会ったことがあった照に加えて、俺と照ですら仲良くなるのに手こずっためめともすっかり仲良しで亮平のコミュニケーション能力の高さを垣間見た。



照「ねえ、阿部ここってどう解くの?」


亮「あぁ、これはここの公式を使って、この24をxに当てはめて…」


照「あ〜わかった!サンキュ!!」


亮「うん!頑張ってね♪」


亮「おっ!めめそれあってるよ!正解!」


蓮「っし!つぎつぎ!」


亮「あ、も〜、佐久間?1問も解いてないじゃん!」


大「だぁって亮平が教えてくんないんだも〜ん」


亮「ちょっとは自分で解く努力をしてっ!笑」



少し前まで俺としか話せなかった亮平が、今では照とめめと、ほかのクラスメイトとも打ち解けて仲良くしているのを見て、嬉しいのになんだかモヤモヤした。



大「亮平が教えてくんないとわかんない。(拗)」


亮「え、えぇえ……⸝⸝⸝?」


蓮「あ〜阿部ちゃん顔真っ赤〜笑」


照「お〜い、イチャつくな〜」


亮「いっ、イチャついてなんか…!!!」


大「亮平」


大「こゆのはテキトーに流しとけばいいんだよ」


亮「そ、そっ…か!そうだよね…。」



そう言った亮平は、自分の解いていた問題に視線を戻すと何か言いたげな顔で口をつむんだ。その表情が少し引っかかって、脳裏にこびりついた。



꙳ ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ꙳



時計の針が6時20分を過ぎた頃。



亮「あっ、もうこんな時間。そろそろ帰るね!」


大「まって〜俺も帰る〜」


蓮「おっけー、おつかれ!岩本くんは?」


照「んー、俺はもうちょいやってきたい。良い?」


蓮「うん大丈夫!」


照「さんきゅ」


蓮「じゃあ阿部ちゃんと佐久間くんまた今度ね」


大「まったね〜!」


亮「お邪魔しました〜」



俺が亮平のあの表情の理由に気づくまで、


あと1週間。



to be continued…

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