セクタールの入り口は巨大な門で封鎖されていた。
アルノスは何やら装置を操作し、門を開くと二人は都市の中へと足を踏み入れた。
中はエリオスが想像していた以上に壮大で、無数の人々が行き交っていた。
彼らは皆、機械的な装飾や装置を身につけ、星のエネルギーを利用した生活を送っているようだった。
「ここでは星の力が全てだ。人々はその恩恵を受け、繁栄を享受している。しかし、その裏で何が起きているかを知る者は少ない」
アルノスの言葉に、エリオスは視線を巡らせた。華やかな表情の人々の中に、どこか影のようなものを感じ取った。
「アルノスさん、僕たちはこれからどうするのですか?」
「まずは、お前の力を覚醒させる必要がある。そのために、ある場所へ向かう」
二人は都市の奥深くへと進んでいった。
道中、エリオスは機械の動力源となっている巨大な装置や、星のエネルギーを集積する施設など、見たこともないものを目の当たりにした。
その全てが彼にとっては未知の世界であり、驚きと不安が交錯していた。
やがて二人は大きな建物の前に立ち止まった。
入口には厳重な警備が施されているようだったが、アルノスは再び装置を使ってそれを突破した。
「ここは…?」
「『星の神殿』と呼ばれる場所だ。星の力を最も純粋な形で感じ取ることができる場所だ」
中に入ると、そこは高い天井と広大な空間が広がっていた。中心には巨大なクリスタルが浮かび、淡い光を放っている。
「エリオス、お前の境界石をそのクリスタルに近づけてみろ」
促されるままに、エリオスは境界石を取り出し、ゆっくりとクリスタルに近づけた。
その瞬間、境界石とクリスタルが共鳴し合い、強い光が周囲を照らした。
「これは…!」
エリオスの体に温かいエネルギーが流れ込んでくる。心の中で何かが解き放たれる感覚があった。
彼の瞳には星の光が映り込み、その瞬間、自分が持つべき力の一端を感じ取った。
「これが、僕の…力…!」
アルノスは満足そうに頷いた。
「そうだ。お前は星の力と魔法の力、両方を扱うことができる。これで、境界を安定させるための第一歩を踏み出した」
しかし、その時だった。神殿の外から激しい揺れと共に爆発音が響いた。エリオスは驚いて振り返る。
「何が起こったんだ?」
アルノスの表情が険しくなる。
「追ってきたか…ダリオスの手先だ。急がねばならない」
「ダリオス…?」
「彼は星の力を独占し、世界を支配しようとしている者だ。お前の力を手に入れようとしている」
エリオスは緊張と恐怖を感じながらも、境界石を握りしめた。
「僕に何ができるかわからないけど、やるしかないんだね」
「その通りだ。行くぞ!」
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