神殿を飛び出すと、都市は混乱に包まれていた。
黒い装甲に身を包んだ兵士たちが暴れ回り、無差別に破壊を繰り返している。
人々の悲鳴があちこちで響き渡っていた。
「エリオス、彼らの狙いはお前だ。見つかる前にここを離れるぞ」
しかし、その言葉が終わる前に、二人の前に数人の兵士が立ちはだかった。
「見つけたぞ、アルノス、そしてそのガキもな!」
エリオスは身構えるが、体が震えて動けない。アルノスが前に出て、機械の腕から光の刃を生み出した。
「エリオス、後ろへ!」
激しい戦闘が始まった。アルノスは卓越した技術で次々と敵を倒していく。
しかし、敵の数は多く、次第に追い込まれていく。
「くそ、キリがない…!」
その時、エリオスの境界石が強く光り始めた。 彼の中で何かが覚醒しつつある。
「この力は…?」
直感的に手を前にかざすと、眩い光が放たれ、敵の兵士たちを弾き飛ばした。アルノスが驚いた表情でエリオスを見る。
「今のはお前が…?」
エリオス自身も信じられない思いだったが、不思議と恐怖はなかった。むしろ、自分の中に眠っていた力が目覚めたことに安堵すら感じていた。
「行こう、アルノスさん。ここを抜け出そう!」
二人は混乱する都市を駆け抜けた。背後では敵の追撃が迫っている。
しかし、エリオスの中には不思議な自信が芽生えていた。
都市を抜け出し、二人は再び森の中へと入った。夜の闇が二人を包み、追っ手の気配は次第に遠のいていく。
「ひとまずは安全だろう」
アルノスが息を整えながら言った。エリオスも大きく息を吐き、地面に座り込んだ。
「僕は…本当にこの力を使えるんだね」
「そうだ。そしてその力はこれからもっと必要になる。ダリオスはお前の力を狙っている。世界の均衡を保つためにも、彼を止めなければならない」
エリオスは静かに頷いた。
「わかった。僕にできる限りのことをするよ」