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光「え………………?」
「なんでや…」
光?「完壁に模倣したはずやのに……」
私達から見て右側半分の光の顔。
そこがドロォっと溶けたようにナニカが現れた。
黒色のナニカとしか言いようがあらへんものは佳紀と私に纏わり付いてきた。
ナニカ「お願い…誰にも言わんといて」
『光……』
ナニカ「”初めて”人として生きたんや」
「学校もアイスも初めてで…」
「楽しかった…………」
「身体も人格も借り物やけど、」
「お前らのこと、大好きやねん………」
「やから、頼む…… お前らを殺したない…」
水が制服に染み込んで来て、それがコイツの涙かてことはすぐに分かった。
……今、肩に頭を乗せて涙を流すのは光とちゃう。
そやかて離してとか、今すぐ消えろとか、言えんと、コイツの背中に手ぇ回して強う強う抱き締めた。
佳紀「っ…はぁ…はぁ…っ……」
どちらにせよ、光はもうおらんのや。
それやったらニセモンでも傍に居て欲しい。
佳紀「…分かった、ヒカル」
「よろしくな」
『……よろしく、ヒカル』
ナニカ「…おん」
「大好きやで、──、佳紀」
『私も…』
佳紀「……俺も」
一段と蝉の声が大きゅう感じるこの年。
先程まで雑談を交えながら飲んどったジュースは 何の変哲もあらへん田舎の夏を映しとった。