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「憶えてたんだ…あの時は本当に苦しそうだったもんね…」
「それで葵さんはどうなったんてすか?」
「病院に運ばれた葵ちゃんは色んな検査をされたんだけど、特に以上は見られなかったの…」
「そりゃそうだよ。私、病気でも風邪でもなかったんだから…」
「だったら何で倒れたかわかってるの?」
「うん…。あの時も、未来の映像を見ていたの…」
「もしかして、能力の限界を越えてしまったって事?」
僕は、運転席と助手席の間から体を乗り出して、葵さんに問いかけた。
「はい…」
「その時、何か見たんですか?」
「・・・・・」
葵さんは、なぜか黙って僕を見ていた。
ふと前を向くと、フロントミラー越しに遠藤さんと目が合った。
2人して僕を見ていた。
「僕ですか?」
「はい…」
「僕の何を?」
「・・・・・」
葵さんは何も言わず、恥ずかしそうに外を向いてしまった。
「葵ちゃん本人の口から言うのは恥ずかしいよね? 私が言ってあげる。葵ちゃんが見たのは…結婚式でバージンロードを歩くウェディングドレス姿の葵ちゃんと、タキシード姿の紺野くん、あなたよ」
「そうですか…」
別に驚きはしなかった。
「ショックですよね?」
葵さんは振り向くと、僕の表情を伺うようなを確かめるように聞いてきた。
「そんな事はないですけど…」
「未来を知ったという事は、未来を変えるチャンスが出来たという事です…。嫌なら、今からでも間に合うかもしれませんよ」
茉奈ちゃんと同じ事を葵さんも言っていた。
「嫌ではないし、未来を変える為に何かをしようとも思いません。今までと何も変わらず、いつも通りにして行きます。その結果、葵さんが見た未来に繋がるなら、それは僕が選んだ未来…運命です」
「紺野さっ…」
「紺野くん…やっぱりカッコいいわ」
「あっ‥ありがとうございます」
「・・・・・。良いシーンだったのに、何で邪魔するの!」
葵さんは、ブツブツと何かを呟きながら遠藤さんを睨んでいた。
「着いたわよ」
そうこうしている間に病院に到着した。
そして、車を降りると茉奈ちゃんがいる集中治療室に向けて急ぎ足で歩き始めた。
「遠藤さん、さっきの話の続きなんですけど…。病院に運び込まれた葵さんは、その後どうなったんですか?」
僕は前を歩く遠藤さんに追いつくと、並んで歩きながら先程の話の続きを尋ねた。