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第26章「五人が守ったもの」
地下遺跡の奥。
十人は、ゆっくりと開いた扉の向こうへ進んでいた。
壁には、これまで何度も見てきた五つの紋章が並んでいる。
氷。
音。
雷。
影。
植物。
そして、その中央には─
小さな光の紋章。
kr「……またこの形だな」
krが呟く。
pe「五つの紋章と、中央の光」
peが壁に近づいた。
pe「でも、今度は最初から全部見えてる」
rd「何か違うのか?」
rdが尋ねる。
pe「うん」
peは中央の紋章に手を伸ばした。
すると─
カッ。
壁の一部が光った。
sn「うわっ!?」
snが飛び退く。
sn「また罠!?」
pe「たぶん違う!」
peが答える。
壁に、古代文字が浮かび上がっていく。
その文字は、次第に映像へ変わった。
五人の守護者。
そして、その前に立つセイル。
セイル『ここが……封印の中心』
セイルが呟く。
現在の十人が息を呑んだ。
kyo「封印の中心…?」
kyoが呟く。
映像の中で、五人の守護者がそれぞれの位置に立つ。
エルネは氷の魔力を。
フィアナは音の魔力を。
ガルムは雷の魔力を。
ミラドは影の魔力を。
アシュラは植物の魔力を。
それぞれ中央へ流していた。
そして、その先には─
巨大な黒い亀裂があった。
tr「…あれが?」
trが目を見開く。
tr「封印されてるもの…?」
─亀裂の向こう側には、黒い霧が渦巻いている。
それは、これまで学園や王都で見てきた黒霧とよく似ていた。
pe「じゃあ……」
peが呟く。
pe「俺たちが戦ってきた黒霧って、昔からあったってこと?」
krが頷く。
kr「おそらくな」
映像の中で、エルネが口を開く。
エルネ『この亀裂を完全に閉じることはできない』
セイル『え?』
セイルが振り返る。
フィアナ『では、どうするんですか?』
フィアナが答える。
エルネ『閉じるのではなく、抑え続ける』
セイル『ずっと…?』
エルネ『私たちがいる限りは』
ガルムが巨大な槌を地面に突き立てる。
ガルム『だが、人間は永遠には生きられん』
ミラドが静かに続ける。
ミラド『だから五つに分けた』
pe「五つに…?」
peが聞き返す。
映像の中で、五人の魔力が五つの光へ分かれていく。
氷。
音。
雷。
影。
植物。
五つの力が、それぞれ別々の場所へ飛んでいった。
そして─
五つの光が、巨大な黒い亀裂を囲んだ。
アシュラ『封印の欠片』
リナが呟く。
リナ「これが…」
アシュラが笑う。
アシュラ『五つの欠片は、封印を閉じるための鍵じゃない』
全員が息を呑む。
アシュラ『封印を、支え続けるためのもの』
─静寂。
sn「…じゃあ」
snがゆっくり口を開く。
sn「五つの欠片がある限り、封印は維持されるってことですかね?」
rd「そういうことだろうな」
rdが答える。
krが腕を組む。
kr「つまり、黒羽が欠片を集めているのは─」
その瞬間。
映像が一度途切れた。
pe「え?」
peが目を見開く。
だが、すぐに再び映像が映る。
今度はセイルだった。
セイル『でも…』
セイルが五つの欠片を見る。
セイル『もし、欠片が全部なくなったら?』
エルネが答える。
エルネ『封印は弱くなる』
セイル『じゃあ、全部集めれば…』
フィアナ『そう』
フィアナが頷く。
『五つが一つの場所に集まったとき、封印を完全に制御できる』
rd「……!」
rdが目を見開く。
rd「つまり、黒羽が欠片を集めている理由は─」
フィアナ『封印を壊すためとは限らない』
フィアナの言葉に、全員が固まった。
フィアナ『五つを集め、封印そのものを支配するつもりなのかもしれない』
映像が消えた。
地下遺跡に静寂が戻る。
rd「…なるほど」
rdが呟く。
pe「一つ、分かったな」
peは五つの紋章を見つめた。
pe「黒羽は、ただ欠片を壊したいわけじゃない」
pe「全部集めて、封印を自分たちのものにする……」
krが続ける。
kr「そう考えると、今までの行動にも説明がつく」
sn「でも!」
snが手を挙げる。
sn「だったら、なんで黒羽は最初から全部取らなかったんですか?」
kr「それは─」
krが言葉を止める。
kr「……分からない」
sn「ですよね…」
snが頷く。
sn「じゃあまだ謎じゃん!」
kyo「結局な」
kyoがため息をつく。
kyo「一個解決したと思ったら、また一個増えたやん」
リナ「それがこの遺跡の仕組みなんじゃない?」
リナが笑う。
リナ「分かったことの先に、また分からないことが出てくる」
pe「うわぁ……」
peが頭を抱える。
pe「終わりが見えない…」
rd「でも」
rdが言った。
rd「少なくとも、一つは分かった」
rdは五つの紋章を見る。
rd「五人の守護者は、ただ封印を守っていたんじゃない」
rd「封印を未来へ残していたんだ」
アシュラが言っていた。
アシュラ『次の誰かに残していくもの』
その意味が、ようやく繋がった。
五人は、自分たちがいなくなったあとも封印を維持できるように、五つの欠片へ力を託した。
そして─
その力を繋ぐために、セイルがいた。
pe「…じゃあ」
peが自分の手を見る。
pe「俺の光は…そのためにあるのかな」
rd「まだ分からない」
rdが答える。
rd「でも、お前の光が五つの紋章に反応したことは事実だ」
peは小さく頷いた。
pe「…そっか」
その瞬間。
中央の黄色い紋章が、ほんの少しだけ輝いた。
─パァ。
「……!」
十人が一斉に振り返る。
しかし、すぐに光は消えた。
pe「今の…」
peが手を見つめる。
答えは、まだ出ない。
けれど。
五人の守護者が何を守っていたのか。
それだけは─
ようやく分かった。
五つの欠片は、封印を支えるために残されたもの。
そして、その封印を繋ぐ役割を持っていたのが─
六人目の守護者、セイルだった。
遺跡のさらに奥から、低い音が響く。
─ゴォォォン……。
rd「……まだ先があるみたいだな」
rdが剣に手を添える。
pe「行こう」
十人は、再び歩き出した。
今度は─
少しだけ、過去の真実に近づきながら。
─第二十七章「遺跡の最深部」へ続く。