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「榊社長!!」



あんこさんと果穂ちゃんが声を揃えた。



「お久しぶりですね、榊社長。また来てくれて嬉しいです」



あんこさんがニコニコしながら言った。



気のせいか、祐誠さんが登場した瞬間、『杏』に華やかな空気が流れ込んだ気がした。



「私もまた来れて嬉しいです。しばらく忙しくしてたものですから」



祐誠さんも微笑む。



「榊社長さんって、笑顔が可愛いんですね~すっごく素敵です」



そうやって思ったことを何でも口にできるって、果穂ちゃんは本当にすごい。



「あの、失礼ですが、もしかして榊社長というと、あの榊グループの若社長さんですか?」



東堂社長が祐誠さんに話しかけた。



「はい、そうです」



「やはりそうでしたか。私、東堂製粉所の社長をしております。名刺をお渡しさせていただいてもよろしいでしょうか?」



「はい。東堂製粉所の社長さんでしたか。雫さんからお聞きしています。最高に美味しい小麦粉だと」



「雫さん?」



今度は、慧君と希良君がハモった。



「名前で……呼んでる」



希良君が、みんなには聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。



それにしても、なんだか嘘みたいだよ。



さっきまで暇だった店内に、どんどん知った人が集まってきて……



しかも、男性達は全員イケメン。



雑誌の一流モデルさんがいっぱいいるみたいで、いつ撮影が始まってもおかしくない雰囲気だ。



だけど、女性陣だって、あんこさんはこの中にいても全然引けを取らないくらい美人だし。



果穂ちゃんは愛嬌があって可愛い。



私だけが……ちょっと浮いてる気がする。



「東堂社長。榊社長には、うちのパンをごひいきにしていただいてるんですよ」



「そうだったんですか」



「ええ。こちらのパンはとても美味しいので」



「ありがとうございます。うちのパンは全てこちらの東堂製粉所の小麦粉から作られてますから、ぜひとも小麦粉もひいきにしていただきたいです』



あんこさんが笑顔で言った。



サラッと東堂社長のサポートをするあんこさん、すごくカッコいい。



「あ、じゃあ名刺を……」



東堂社長は名刺を差し出し、祐誠さんはそれを受け取った。



「ありがとうございます。では、私の名刺も。1度、我社にお越し下さい。会社には話を通しておきます。こんなに美味しいパンができる最高の小麦粉を、うちの百貨店にもぜひ置かせて下さい」



「ほ、本当ですか!? そ、それは実に有り難いお話です」



「良かったわね、東堂社長。こだわり続けて、ずっと頑張ってきた甲斐があったね」



あんこさんが東堂社長の肩を叩く。



15歳以上は離れてるだろうけど、いつだってあんこさんと東堂社長の関係はこんな感じ。



見ていて憧れる、とても素敵な間柄だ。



「榊社長、私からもお礼を言います。ありがとうございます。あ、それから、一応紹介しておきますね。こちらは東堂社長の息子さんの慧君。こちらが渡辺 希良君、近くのスーパーでバイトをしてる大学生さんで……雫ちゃんのお友達です」



あんこさんが、気を利かせて2人を紹介してくれた。

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