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ふと目を開けたら、真っ暗闇に包まれた場所に横たわっていた。隣で寝ているはずの健吾さんはいなくて、不思議に思いながら起き上がると、視界の先に青白く光り輝くなにかがあった。

音もなく近づいてくるそれに、恐怖しか沸かない。


(火の玉とは違う光り方をしているし、幽霊の類なのかな――)


光り輝くものをよく見ようと、擦った目の感触や自分の体温を感じるのに、空間の温度を感じることができなかった。多分これは夢の中だと悟ったときには、光り輝くものが目の前に現れた。


「あ……」


肩の長さのプラチナブロンドに整った顔立ちの男性は、神父様のような恰好をしていた。恐怖で固まる僕を和ませるように、首を傾けて微笑みながら見下ろす。


「健吾さん?」


リアルでプラチナブロンドのカツラを被って、夢の番人を演じてくれた彼を思い出したので、そっと名前を呼んでみた。


「どうしてコレが、あの男だとわかった?」


かけられた声は男性のものとは思えない高いものだったけれど、女性とも思えない声質だった。


「すっ、すみませんでした。人違いでしたよね」

「質問に答えろ。どうしてあの男だと思ったんだ」


あたふたしながら俯くと、なにかで顎を上向かせられた。よく見るとそれは鞭の握る部分で、長い紐が目の前でゆらゆら揺れていた。


「ひっ!?」

「おまえを鞭で打ったりしない。安心して答えろ」

「本当ですか?」

「この武器は、彼奴が夢の番人をしていたときに使っていたものだ。私の趣味ではない」


鞭を見て怯える僕を、男性はさも可笑しいと言わんばかりに、カラカラ笑い倒した。


「私を信用しろというほうが無理な話だったな、悪かった。それで記憶のないおまえが、瞬時にコレをあの男だと思ったわけはなんだ?」

「それは昨晩、健吾さんがプラチナブロンドのカツラを被って、夢の番人の姿を見せてくれたので」

「なるほどな。そのまま行為に及んだということか」


その後のことをずばりと指摘した男性に、ぐうの音も出なかった。じわりと頬が熱を帯びたせいで顔が赤らみ、告げられたことを自然に肯定してしまった。


「彼奴との生活はどうだ? 嫌になったりしていないか?」


微妙な態度をとる僕を気遣ったのか、男性はさっさと話題を変えてくれた。


「嫌になったりなんて、まったくないです。むしろ、一緒にいられて幸せです」


どこか鋭い眼差しで見下ろしながら、あれこれ訊ねる男性の正体に、心当たりがあった。

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