~二度目の出会い~
明利side
『相変わらず、』
お姉ちゃんはもてはやされて、私はいつもいつも奴隷のように…。学校だって楽しくないし、楽しいのは…
『ゴーストシティってなんでこんなに短いんだよ!』
ゴーストシティに一度入ってしまった。偶然なのか、必然なのか。それでも私はゴーストシティの虜になってしまった。そこに居たのはねずみのような少女で、私に自由をくれた。
『それにしても。』
今日は異様に寒い。布団からでれなくなってしまった。
『明利、学校、行かないの?』
お姉ちゃんだ!お姉ちゃんはすごく好きだから言うことを聞こう。
『行くよ!もちろん!行ってくるね!』
家を出て右に曲がったら後はまっすぐなんだけど…
『ばぁっ!』
対してびっくりしなかったけど、この子は確か…
『神道様ですか?』
『面白くないなー。まぁいいや、華だよ』
華様、次男か。長男は…
『あーすいません。弟が。』
『!?』
真後ろから声をかけられたから今回はびっくりした。
『あー。満月家の…お姉さんは?学校じゃないの?』
あーまたお姉ちゃんの話…けれど、この人は少しいつもの人とは違う…?
『お姉ちゃんは外に出れないので。』
『…なるほど』
急に長男の方が、振り返って走り出した。私の家の方向に。
『ちょ、ちょっと!』
『にしても、満月家は可愛いですね?』
お世辞かよ、この餓鬼が。
…マジで神様がどうとかどうでも良いから。
お姉ちゃんには、近付くな。
橋上 渚(はしがみ なぎさ)side
『神道蓮です。』
そういって、転校生は立っていた。私は生徒会長で、スポーツもできて、勉強もできた。正直、クラスのカースト的にはトップらへん?まぁ、それは全部私の表側。本当は…
『ちょ、渚wその子泣いてるじゃんww』
『あっ、ほんとだ。可哀想になぁ?』
いじめを楽しんでる。私は生徒会長なんだからいざとなればいじめ仲間を売ればいいだけ。
『神道って神道家?神道家って神様祀ってるんだよね。』
そう聞こえたから言ったまでだ。
『呪われるんじゃない?』
次の日から彼は学校に来なくなった。転入生だからいじめようと思ったのに。まぁいいや。
そう思いながら教室に入ると変な空気が流れてた。
『みんな、おはよう』
そう言うと私を見た子は皆目を伏せて、教室で話していた子は明らかに無視した。
『あっ、あれ?どうしたの?』
正直内心焦った。この空気は始めて吸った。
『あんたさ、いじめるの大概にしたら?』
どこからか聞こえた。びっくりしたけど、平然を装って言った。
おはよう
今度は私がターゲットになった。どうやら神道くんは学校に行ってるみたい。
『なんでよ』
ずっと味方だと思ってた皆は敵だったのかな?…未だに彼女だけはずっと声をかけてくれる。
【渚、体調は悪くない?学校、今日も来れない?】
この子は雨。私の親友。けど彼女も助けてくれなかった。どうせいい子装ってるくせに
【元気】
冷たいけど、許してね。もう私には人を想う心は残ってないの。
今は彼女がクラスで成績も勉強も一番できる。そして代理の生徒会長様。
『もう、私いなくてもいいじゃない』
ふとこぼれた笑みに気づかなかった。目の前には空いた窓、ベルト、カッター。私のために用意されていいるみたいだな。
皆許さないから。
窓に足をかけた瞬間、スマホが凄い勢いで光ったのが見えた。まるで私を否定するように、光っていた。
何日もお風呂に入ってなくてべたつく髪を撫でて、スマホを取った。
変われ、世界
満月 青澄side
凄くかわいい子を見つけました。蓮君、君はなんで私の正体を見破ったのでしょう?不思議な子ですね。
『それでは始めます。』
今日は私の仕事の日です。神と話すふりする日。バグった私の脳は今も動いてるようですね。
『今日は精度が悪いな。』
うるさい、気にしてないの。
『妹の方の育ちはどうだ』
明利のこと?あの子は優しいです。私を人間として扱ってくれる。
そうして私は鎖に繋がれ始めました。儀式のときに毎回繋がれる。神様が憑依しては危ないからだそうです。ぼーっとしてると聞こえた。
『青澄は?ここにいるのでは?』
叫ぶように、けど威厳を持つような声が聞こえた。蓮です。
『あっ…』
私の視界を遮るように母さんが布をかぶせました。そして
いない
と。私は物と同じ扱いをされてきました。けれど、彼に対しては変な気持ちが沸いたのです。
『…だよ』
母さんの体がびっくりするのが感じれました。続けて大きな声を出して言ってしまったのです。
『蓮!ここだよっ!』
母さんの体が硬直するのが分かりました。けれど溢れた感情を表に出さずにはいられなかったのですよ。
布を取って立ち上がるとそこには蓮がいました。走って来たのか、少し汗をかいています。けれど私の方が酷いでしょう。頬を伝う涙はもう止まらなくなっていて、それを拭う手もびしょびしょでしょう。
『青澄、行こう。』
そう言う彼は落ち着きを持っていました。そして考える間もなく
『ええ』
鎖は蓮が千切ってくれました。人ではないのか、と驚きましたがそれ以前に嬉しかったのです。
『待ちなさい』
母さんは血走った眼で蓮を睨みました。すると彼の頬にナイフを刺したのです。
『うぐ』
うずくまる蓮をみてこう悟りました。
救われないな と
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!