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一方その頃、Tはムラクモと他の転校生の男子生徒と一緒にその人の家に来ていた。
数時間前、授業の終わり頃新しく入った男子生徒が教室に来ていた。
先生「今日から新しい転校生を紹介します。出て来てください」
男子生徒「はい」と言って出てくるのだった。
男子生徒「俺は江東区で定時制高校を中退した、2年生の環(めぐり)・ローズ・アフマディです。旧姓は月森環です。全日制です。年齢は17歳ですが、皆さんより一個年上です。見ての通り俺は純日本人ですが、事情があって在日イラン系カナダ人一家の養子として引き取られました。他にも俺の同い年で高2のお姉ちゃんがここのそばにある特別支援学校に通ってる中途難聴者です。よろしくお願いします…」と引っ込み思案ながらも教室で挨拶していた。
環の心の声「よかった。ここでは誰もラベルで判断して来ねぇな。俺が支援学級出身で、高校2年で中退して家出して児相になって養子として引き取られたな…でも支援学級出身者なんて誰にも言いたくねぇ…前のクソ両親から『社会的マイノリティだから劣った遺伝子だの不完全だ…』ってレッテル貼られたし暴力振るわれてもいたからな…」と複雑ながらもそのように考えていた。
そして授業が終わり、Tとムラクモが好奇心に声をかけた。
T「私はTと言います。もちろん私は江戸川区から移住しました」
ムラクモ「天野ムラクモと申します。よろしくお願いします」
T「3人で一緒に家に行きませんか?」
環「俺なんかでいいのかよ?まだお前らのことなんか知らねぇのによ…」
ムラクモ「興味がありますのでね。では行きましょう。」
そう言って3人で空前絶後エキセントリシティ学園特別支援学校の門前に来て、迎えに来ていた。
T「その同い年のお姉さんの名前って何ですか?」
環「ベリンダ・ローズ・アフマディだな。」
T「ベリンダ…ローズ….アフマディってまさか…!中途難聴者の?特別支援学校で大人気の美少女じゃないですか?!!その人の姉だって?!!くぅー…羨まし過ぎです…!」
ムラクモ「別にそういうのは興味ないですがね。」
環「そうか?別に気にしてねぇよ、そう言うのは。」
T「あなたのお姉ちゃんが、あの中途難聴者の美人のベリンダさんだとしたら、あなたはきょうだい児の中のSODAになるんですよね?」
環「きょうだい児?SODA?何だよそれ?」
T「きょうだい児っていうのは病気や障がいがある兄弟姉妹を持つ人のことを言いますね。それからSODAって言うのは聴覚障がいの兄弟姉妹を持つ大人と子どもの略ですよ。Siblings Of Deaf Adult and childrenの略だって言われてますから」
ムラクモ「CODAとはまた別ですよ。」
環「CODA?」
ムラクモ「聴覚障がいの親(両親)を持つ子ども(Children Of Deaf Adult)のことを指しますね」
環「じゃあ俺はSODAってことじゃん」
T「よかったら『映画C あいのうた』でも見ますか?結構感動するんですよ。」
環「考えとくよ」
環の心の声「一般社会でそんな話したくもねぇ…前のクソ両親みたいな連中が俺のことを『マイノリティ扱いしてくるからな…毒親育ち…支援学級出身者、不登校でフリースクール出身者、児相出身者、きょうだい児、SODA…言えねぇよな…カミングアウトしずれぇけど、この2人には言えるかもな」
環「っそ..そうだ。お願いがあるんだけどよぉ」
T「っはい…」
環「俺、お前らにしか話せねぇけど…実は一般社会で毒親に育てられてさ….DVも受けたよ…小学校では手に負えない扱いされて、支援学級に入ったよ…両親から『劣った遺伝子…社会の恥…健常者のくせになぜ支援学級に入った』って
レッテルを言われて…『不登校になってフリースクールに通え』って言われた…高校は仕方なく定時制高校に通ったけど、ついてけなくて中退した…それで両親から無理矢理家出させられて憧れてた東京フリーク区へ移住した。そこで家がないことが理由で児相に入った。まあその1週間後には今の一家に引き取られて今に至る…」
T「む..無理しないで大丈夫ですよ!!辛かっただろうに!!力になれるかどうかわからないけど、私たちでよければ寄り添いたいですよ、環さん!!」と引き留めていた。
環「今の話、絶対ぇ他の誰にも話すんじゃねぇぞ….テメェら2人の事をとても信頼してるからこそ言ってんだからな」と警告するように話した。
ムラクモ「それらをもし本人の同意なく第三者に話した場合は**『アウティング』**に当たりますよね…学校で何度も教わりました。カミングアウトしてくれてありがとうございます、環さん」
T「大丈夫ですって…私自身も元々孤児で、施設出身だけど、今はムラクモさん2人でアパートで暮らしていますから…」
ムラクモ「私自身も理事長をしている祖父と校長先生をしているお父さんがこの学園を経営していて、そんな偉大な身内になりたくなくて、アパートへ行って全日制を歩んでいます。個人として見てもらえなくなると思ったのでね…..
ところで環さんはどのようにベリンダさんと手話で会話してますか?」
環「ASLとJSLかな。他には読唇術っていう唇を読む会話とジェスチャーだね。まあ彼女は補聴器を左右両方付けてて、近くで話せばよく聞こえるよ。」
※ASLはアメリカ手話(America Sign Language)であり、アメリカとカナダの辺りで使われている手話言語です。
一方で、JSLは日本手話(Japanese sign Language)であり、日本で使われている手話言語です。
コメント
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環くんの自己紹介から、心の声で過去の傷を語るシーンがすごく胸に刺さりました。「支援学級出身」「毒親育ち」「児相出身」――そういうラベルを誰かに話すのがどれだけ怖いか、彼の警戒心と同時にTとムラクモにだけは打ち明けられたという信頼の重みが伝わってきました。SODAやCODAといった用語を自然に会話に織り込んで、きょうだい児の視点を丁寧に描いているのも印象的です。環くんが少しずつ心を開いていく過程、これからどうなるのか気になります。
#学園
鳳蓮荘
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