テラーノベル
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美咲は全力で走り続け、校庭を抜けると、外の世界が目の前に広がった。
冷たい夜風が彼女の頬を撫で、まるで生き返るような感覚がした。
振り返ることなく、彼女はまっすぐ前を見つめ、逃げ続けた。
「翔太、私、逃げ切ったよ…!」
心の中で翔太に呼びかける。
彼が最後に残した言葉を思い出し、彼の意志を背負うことが、自分の使命だと感じていた。
しかし、逃げる途中で思い出したのは、鬼ごっこの恐怖と、翔太との別れの痛みだった。
彼女は一瞬立ち止まり、夜空を見上げた。
星々は静かに輝き、彼女に希望を与えてくれるかのようだった。
「翔太が見ていてくれる…」
美咲は小さく呟き、再び歩き出した。
学校の外に出たことが、彼女にとってどれほどの解放感をもたらすか、今はまだ実感できていなかった。
何日かが過ぎ、彼女は静かな町の片隅に住むことになった。
日常に戻るには時間がかかったが、あの恐ろしい経験が彼女を強くした。
学校での出来事を振り返るたびに、翔太の笑顔が思い出され、彼への感謝の気持ちが溢れた。
美咲は新しい友達と出会い、彼らと共に笑い、普通の生活を楽しむようになった。
しかし、心の奥には、あの日の出来事が生々しく残っていた。
「私たちは生き残った。でも、あのゲームの影響は、ずっと残る。」
彼女はある日の夕暮れに、仲間たちと公園で過ごしながらつぶやいた。
彼女の声は、周りの笑い声に埋もれてしまったが、彼女自身の心の中では、何かが変わり始めていた。
ある日、美咲は図書館に行くことにした。
あの古びた日記をもう一度読み返したいという思いが、心の中に芽生えていた。
図書館で日記を見つけ、彼女はページをめくりながら過去のことを思い出していた。
「逃げた者たちには、運命を変える力がある。」
その言葉が彼女の心に響く。
ふと、美咲は目を閉じて考えた。
「もし、あの日に戻れるのなら、私は何を選ぶだろう?」
彼女の心に浮かんだのは、もう一度翔太と共に、鬼ごっこの秘密を暴くことだった。
彼女は、あのゲームの背後にある真実を知りたいと思った。
そして、彼女の経験が誰かの役に立つことを願った。
「私の戦いは、まだ終わっていない。」
美咲は新たな決意を抱きしめ、再び歩き出した。
彼女の心には、翔太との別れの痛みを胸に抱きながらも、新しい未来への希望が確かにあった。
美咲は、運命を切り開くための一歩を踏み出したのだ。
完
もう少しだけ続きます。
飽きずに見てね!
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