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これは、翔太たちが鬼ごっこに巻き込まれる数年前の話だ。
ここでも鬼ごっこに巻き込まれる者がいた。
静かな午後、河野翔は学校の廊下を歩いていた。
彼は中学3年生で、友達と一緒に帰るのが日課だった。
しかし、その日はいつもと違っていた。
生徒たちは教室から出てきて、何かに怯えた表情を浮かべていた。
「おい、翔!こっち来て!」
友人の智也が声を上げた。
翔はその声に振り向くと、彼が集まっている一群の仲間に近づいた。
「何があったの?」
智也は息を切らして言った。
「鬼ごっこが始まったらしいんだ。捕まったら、やばいって!」
「鬼ごっこ?そんなの、どうせ冗談だろ?」
翔は笑い飛ばしたが、仲間たちの顔は真剣そのものだった。
その瞬間、校内の放送が鳴り響いた。
「全生徒に告ぐ。今から鬼ごっこが始まります。捕まった者には、厳罰が与えられます。」
翔の心に、不安が広がった。
これは冗談ではない。
彼は仲間と共に、学校の外に逃げる方法を考え始めた。
放送の直後、恐怖に駆られた生徒たちが一斉に走り出した。
翔は智也と共に、廊下を駆け抜ける。誰かに捕まることは許されない。
その思いが彼らを加速させた。
「どこに行こう、翔?」
智也が息を切らしながら尋ねる。
「図書室に隠れよう!」
翔は提案した。
図書室は普段は人が少ない場所で、隠れるには最適だった。
二人は図書室に向かう途中、他の生徒たちとすれ違った。
彼らの目には恐怖が浮かび、逃げ惑っていた。
翔はその光景に心が重くなるのを感じた。
図書室にたどり着いた二人は、急いで本棚の陰に隠れた。
周囲は静まり返っていたが、恐怖がいつ襲ってくるかわからない状況だった。
「捕まったらどうなるんだろう…」
智也が小声で呟いた。
「考えない方がいい。逃げる方法を考えよう。」
翔は必死に思考を巡らせた。
その時、図書室の扉が突然開かれ、鬼が入ってきた。
翔は心臓が止まりそうになった。
彼らの目が合った瞬間、翔の直感が働いた。
「逃げろ!」
翔は智也に叫び、鬼が目を向けた瞬間、二人は一気に本棚の陰から飛び出した。
二人は校舎を逃げ回り、鬼から必死に逃げる。
恐怖と興奮が交錯し、翔は生き延びるために全力を尽くした。
しかし、廊下を走り続けるうちに、智也が転倒してしまった。
「翔…助けて!」
智也が叫ぶ。
翔は悩んだ。仲間を助けるか、自分が逃げるか。
だが、その選択は彼にはできなかった。
翔はすぐに智也の元に駆け寄り、彼を引き上げようとした。
「行こう!一緒に逃げるんだ!」
翔は智也を引きずるように立たせ、再び走り出した。
しかし、後ろから鬼の足音が近づいてきていた。
「早く、行こう!」
翔は智也の手を握りしめ、校舎の裏口へと向かう。
そこには、逃げるチャンスが待っているはずだった。