「あっ、ち、違……! それは……!」
「違うって何が?」
「………っ」
…..
side you
動揺する私を前に、彼は微笑みを浮かべたまま言葉で追い詰めてくる。
顔が熱くなるのを感じながら、どうにか否定しようとするけれど、うまく言葉が出てこない。
「ねえ、本当は誰が好きなの?」
低い声で問い詰められ、視線が絡め取られる。
「……それは……」
言葉を詰まらせて目をそらそうとした瞬間、
彼の指がそっと私の顎に触れた。
その手は驚くほど優しくて、
けれど逃げられないようにしっかりと固定される。
「ほら、ちゃんと教えてよ。」
「その……見てのとおり………………」
声が震える。
「……大森さん………………です…………。」
やっとの思いで名前を口にすると、彼は満足そうに笑った。
「ほら、最初からそう言えばいいのに。」
彼は私の顎をクイっと上に向け、余裕たっぷりに見下ろしてきた。
そのまま、顔がゆっくりと近づいてきて、息をするのも忘れてしまう。
「……じゃぁ、このままキスしていい……?」
低く甘い声が耳に響く。瞳が揺れているのに、どうしようもなく捕まる。
「……(コク)」
何がなんだか分からずに、
震える手を握りしめながら、
私は小さく首を縦に振った。
その瞬間、彼の唇がそっと私の唇に触れる。
それはほんの一瞬、軽い触れ方だったけれど、
温かさがじわりと広がる。
心臓が大きく跳ねる音が自分でも聞こえそうだった。
ふっと彼が顔を離す。
けれどその距離はほんの数センチ。
近すぎる瞳がまっすぐ私を見つめ、微かに笑う。
「……緊張してる? 」
ふと彼の指が私の耳に触れ、赤くなっているのを見て、優しくなぞるように触れた。
「耳、赤いよ。」
その言葉と共に、彼の指が私の耳たぶをなぞり、今度こそ本当に息が止まりそう。
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コメント
20件
最高です、 、 発狂しそう... 、
やばいクオリティーエグ過ぎて今マジで泣いてますよ!?マジで!!
こんなことされてぇよぉ…