「どうしよう!?え!?僕たち呪霊見えるのかな?!」
叶が青い顔をして頭を抱えている。
虎杖の言葉に叶と葛葉は焦っている。
「しー!しー!と、とにかく!今は探索を進めようぜ?」
虎杖が二人をなんとかなだめる。
葛葉と叶はなんとか心を落ち着かせ、虎杖の言葉に頷いた。
「…調べるっていったって、後はこの部屋しかねぇぞ。」
葛葉が2階の一番奥にある部屋を指さす。
三人はその部屋に向かい歩いた。
虎杖が部屋の扉を開ける。
「何かいる?」
叶が虎杖の後ろから部屋を覗く。
葛葉も叶と反対側から覗いた。
「いや……特になにも…。」
虎杖はそう言いながらも違和感を覚える。
部屋の扉を開けたとき微かに呪霊の気配があったような気がした。
「こっちには何もないなら伏黒くん達の方にいるのかな。」
叶はそんなことを言いながら、元来た道を帰ろうとする。
その瞬間、壁から無数の手のような物が出てきた。
叶は虎杖と葛葉の二人から少し離れていた。
その間から無数の手が出てきたのだ
葛葉と虎杖はとっさに構えた。
叶は驚いてしりもちをつく。
「叶!逃げろ!!」
葛葉が叫ぶと同時に無数の手が叶を目掛けて襲い掛かった。
叶に手がかかりそうになった瞬間、無数の手の上には虎杖がいた。
先程まで葛葉と一緒にいたが一瞬で叶の近くまで飛んでいた。
そして、無数の手を踏み潰した。
それと同時にしりもちをついている叶を抱えて、壁から生えた手から離れる。
「叶さん!大丈夫?!」
虎杖は小脇に抱えた叶を心配する。
「だ、大丈夫…。ありがとう虎杖くん。」
泣き目になりながら叶は答える。
「葛葉さん!その部屋の窓から飛んで伏黒と釘崎呼んで来てほしい!」
虎杖は部屋の前にいる葛葉に向かって叫ぶ。
「りょーかいっ!虎杖、叶を任せた!」
葛葉は答えるとすぐさま窓から飛んだ。
そして虎杖は叶を下ろし、後ろに下がるよう指示する。
「とりあえずら叶さんは自分の身を守ることを優先して。」
虎杖が叶にそう言うと同時に無数の手が再び壁から現れ、襲いかかる。
虎杖は構えるがその手は虎杖ではなく叶に向かって行った。
「叶さん!」
虎杖は叶に向かって伸びる手をなんとか攻撃する。
無数の手は虎杖ではなく叶を狙っている。
どうするべきか迷っていると…。
「虎杖くん!走って!」
突然、叶は虎杖の手を引き走る。
「え!なに?!」
わけが分からないが虎杖は走る。
その後ろから無数の手が迫っている。
「多分、あの手は僕を狙ったいると思うんだ。」
走りながら叶は話す。
「あの部屋に入ろう!」
叶と虎杖は扉のない部屋に入った。
そこには壁に大きな窓があり、バルコニーのような場所もある。
叶と虎杖はバルコニーまで走った。
「伏黒くん達ならすぐに駆けつけてくれる。それに葛葉もいるからきっと僕の居場所は分かる。」
息を切らしながら叶は話す。
いくつも部屋がある中でどうやって叶の居場所が分かるのか虎杖は疑問に思った。
しかし、そんなことを考えている余裕はない。
今も無数の手は迫っている。
「いざとなったらここから飛ぼう。虎杖くんなら出来るでしょ。」
叶の顔には自信があった。
虎杖は昨日出会ったばかりなのにそこまで信頼してくれる事に驚いた。
部屋の中に無数の手がうじゃうじゃと入ってくる。
叶と虎杖は息をのんだ。
バルコニーの柵に手をかけたとき、手から悲鳴のような声が聞こえた。
それと同時に三人の姿が見える。
「やっぱりここっすよねぇ!!」
葛葉が尖った爪で無数の手を切りながら勢いよく部屋に入った。
「葛葉!」
叶が葛葉の名前を呼ぶ。
「本当に居場所分かってるじゃん!?」
虎杖も叫ぶ。
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