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現実のキミ

4 - 第3話 「も、も、もしかして・・・」

2022年06月15日

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間違いなく来都くんだった。

絶対あの人、私の推しだった。

身長も歩き方も全てが、私の知っている彼だった。


「うそでしょ?また夢見てるの?」

叩いたほっぺは痛かった。

その人影は、どんどんこっちにやってくる。

胸の鼓動を感じながら、彼を見つめた。


「でさぁ、今日のみーくん超おもろかったんだよ!ほんとに!!」

話し声が聞こえるほど近くなった。

電話をしながら歩いている・・・それにみーくん?

間違いなくメンバーの瑞希くんのことだろう。

たぶん夢なんだよね。早く覚めてほしい。

そんな想いとは裏腹に、どんどん彼が近づいてくる。

もうこんなことは2度とないかもしれない。

私は声をかけてから帰ろうと決めた。


「も、も、もしかして来都くんでしょうか」


やばい仕事口調になっちゃった・・・てか電話中だし、なにやってるんだよ自分!

胃が痛くなるほどいろんなことを考え込み、しんどくなった。その時、

「え!そうですよ。ちょっと!みーくんこんな時間に僕のファンが出歩いてる!!一旦切るね」

彼は電話を切って、私に応じてくれた。

「ごめんなさい!電話してて・・・僕です。僕、来都です!こんなところで会えるなんてすごい!」

テレビや雑誌で見るあの可愛い笑顔が、こっちを見つめている。

死ぬ死ぬ、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ

私は仕事の上司だと思って、彼に話した。

「じ、、実はここら辺に住んでいて・・・というか今日から引っ越してきたんです。仕事のために!ここから通うと近くて・・・そ、そ、それで、それでここにいたってわけで、てか来都くんはどうしたの!?」

彼に向かってなにをそんなどうでもいいことを!と、言う間もなく、彼は会話を続けてくれた。

「仕事かぁ、えらいね!僕はずっとここに住んでたんだよ。上京してきたってことかな?偶然近所になるなんてさあ、すごい確率だよ。また会えるといいな。明日から仕事頑張って!じゃ!」

あっという間に彼は帰った。たぶん仕事の帰りだったんだろうな。駅前の公園が通り道だから、きっと偶然通っただけだろう。


にしてもこんな偶然にもこの上ない幸せな時間を過ごすことができて、私は世界一幸せなのかもしれない。明日から仕事頑張ろうと、浮かれ気分で帰った。


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