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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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「あぁぁっ! アック様っっ!! お帰りなさいです~!」


エルフの森域は失われ、ゲートトンネルそのものが消えていた道から来た道を戻ると、ルティたちが嬉しそうな顔で待っていた。


いつものことだが、またしてもルティが突撃して来る気配を感じてしまう。それを察してか、シーニャがおれの前に立ちふさがろうとしている。


そろそろ突進してくるか?


そう思っていたらすでに手を打っていたようだ。


「ふおぉぉぉぉぉぉ……ふぐえっ!?」

「落ち着きなさい、ルティ!」

「ミルシェさん、ひどいじゃないですか~! 首根っこを掴むなんて! わたしネコじゃないんですよ~?」

「ネコでも掴まないニャ! 本当ニャ!」

「……あら? どなた?」

「ほえ? ネコ族……どこかで?」


ルティの首根っこを掴むミルシェに安心して近づくと、そこにはネコ族の彼女が立っていた。再建の時には駆けつけるなどと言っていたが、一体どこから来たのやら。


「あ、アックニャ! 約束通り、再建のお手伝いに来たニャ~!」

「シャトンじゃないですか! どうやってここに?」

「ニャフフフ。釣りギルド期待の星のアックのことなら、どこにいても分かるニャ! 早速取り掛かるニャ」

「え? でも、水辺の正確な場所はまだ把握してませんが……」

「大丈夫ニャ。エルフの王に協力してもらえるから、心配ないニャ! じゃあまたニャ~」


驚いた。


まさか本当に釣りギルドのマスターであるシャトンが来るなんて。これにはさすがに彼女たちもきょとんとしている。


「おい、キサマ! まさかと思うが、ネコ族以外にも気を振りまいているんじゃないだろうな?」

「違うぞ、フィア。シャトンは釣りギルドのマスターだから、おれに会いに来たわけじゃないんだぞ」

「……ふん、無節操な男め。我は兄を探し、手伝いに行く。キサマはキサマのことをやれ!」

「一応聞くが、ニーヴェアはすでにここへ?」

「当然だろう? 王がキサマを認めたのだ」


シャトンからも聞こえてきた王とは、まさかニーヴェアのことなのか?


「フィアの兄は墓守でずっとエルフの森を守ってきたんだったか……?」

「だからこそ、我らエルフの王だ。そして誇れる我の兄でもあるぞ!」


なるほどな。


「だがエルフの森域は消え、我らが従えるのは国主ただ一人となった。だからキサマは堂々としていればいいだけだ! 我はもう行くぞ」

「分かった。頼むぞ、フィア」

「アックの言葉なら言われるまでも無い!」


森人の括りで契りを交わしたことが功を奏したようで、以前よりも意固地さが消えた気がする。


「――っと、放置して悪かったな、ルティ」

「い、いえいえいえ! と、とにかくびっくりしてまして~」

「アックさま。あなたは、ご自分の国を異種族の楽園になさるおつもりが?」


ルティは戸惑っているがミルシェは冷静に聞いてくるか。


「そういうつもりは……しかし貴族の例もあるからな。知らない人間を再建で入れるとなると……」

「それでしたら当面はエルフたちに任せていいと思いますわ。建物に関してはしばらく手を加えなくとも……、そのうちに職人が集まって来ますわよ」

「職人か……」


再建と言いつつ、具体的なことは何も考えていない。自然とサンフィアたちエルフと獣人たちを受け入れただけだ。


公国ではあるが、今さら立派な城なんかを建てるつもりは無い。だがミルシェの言うように、まずは居住区以外の所を任せてみるのもいいかもしれないな。


「……ん? どうした、シーニャ」

「エルフの森の先にはいつ行くのだ?」

「あぁ……そうか。それも気になるところだな」

「アックさま? エルフの所で何かありましたのかしら?」


おれはかいつまんで今までに起きたことをミルシェたちに話した。


「――ということなんだ。行くにしてもここを離れるとなると……」

「アック様、アック様! はいはいっっ! ご一緒したいですっ!!」

「うーん」

「……それでしたら、あたしが残りますわ」

「ミルシェが? し、しかし……」


そう何度もミルシェばかりに頼るのはどうなんだろうか。


「ここを守るだけならあたしが適任かと思いますわ。それに、エルフたちの動きも見ておきたいですし」

「そうか。ミルシェなら任せられるな! でも、交渉事があったら頼みたかったが……」

「ふふっ、交渉事ならルティで十分ですわよ? そうでしょう? ルティ」

「は、はいっっ!!」


あまり変わったように見えないが、ミルシェに任せたことでルティも成長したということだろうか。


――ということは、ルティ、フィーサとシーニャで出発することになるな。


「フィーサはまだ眠っているのか?」

「ええ。人化はしていませんので、眠ったままお連れしてよろしいのでは?」

「……分かった、そうしよう」


神剣となってからは消耗が激しくなっているはず。今は眠らせておく方が良さそうだ。


「アック、あのエルフは連れていかないのだ?」

「ん? サンフィアのことか?」

「ウニャ」

「そうだな……」


敵対していたのにシーニャがこんなことを言うようになるとは。ミルシェの代わりにエルフのサンフィアか。


「アック様! ひとまずお食事にしましょ~! こっち、こっちに来てくださいっ」

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

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