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三上くんと、レンズ越しで。
ー2話ー
話しかけてもいいですか?
朝6時半。隣の三上くんのいるクラスに来てみた。が、
(緊張して早く来すぎた…教室誰もいないし…)
「そこで何してんの。」
「びっっ!!!!くりしたー…えっと、、三上くんに謝ろうと思って、、」
「ああ、俺も驚いて言いすぎた。申し訳ない。」
(あれっ?思ったより怒ってない?)
「それだけか?じゃあ俺はこれで。」
「え、ああ、うん…」
図書室へ向かう三上くんの背に情けない相槌しか打てなかった。
(……終わり??)
拍子抜けで、でもなぜか胸がちくりと痛んだ。もっとなにか言うべきはずだったのに言葉が絡まって出なかった。
(図書室、か…)
普段の私とは無縁で、静かで、近寄り難い場所。
(もう少し…)
無意識的に足が動いていた。
朝早くの図書室は人の気配はなくカーテン越しの朝日が淡く机の上に落ちていた。
三上くんは静かに、メガネ姿で本を開いている。
さっきの「申し訳ない」という言葉が、今になってじわっと効いてくる。あんな風に真面目に謝られたの初めてだ。
私はそっと近づいて、止まった。
「あの、三上くん。」
少し驚いたような顔でこっちを見た。
「まだ、何か?」
「えっと……」
頭の中で思考がぐるぐる回って、そうしているうちに目が合って、慌てて逸らした。
「朝、早いんだね」
我ながらひどくどうでもいい一言、普段のお喋りはこういう時に役に立たない。
少し間を開けて三上くんは口を開いた。
「……君もね」
それだけなのに胸がふっと軽くなった。
また、時計を見る。6時50分
まだ今日は始まったばかりなのにこの日のことは忘れない気がした。