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サイド リオ
(うわっ、……広すぎて迷いそう)
俺、コヤマイシ リオはユメの実家でもある横山家に警備員として忍び込んでいる。
広すぎる玄関。赤いカーペットが敷かれた長い廊下。豪華絢爛な調度品。……ユメって、お嬢様だったんすね。
……にしても、警備硬すぎじゃないっすか?いくらなんでも、家周辺に二十人以上の護衛がつくなんて……。
これは、何かありそうっすね……。
これじゃ、部屋に入ることも難しいそうだ。
さてと、どーしたもんか!団員の前でカッコつけて、何もせずに帰ることは出来ないし……。
はぁ、できれば余り人に頼りたくなかったんすけど。ここはユメの兄貴を使った方が良さそうっすね。
サイド ルネ
コンコンとノック音がした。返事をする前に先輩と……その護衛?らしき人が入ってくる。
「あれー?先輩、遊びに来てくれたんですか?ダメですよ、病気持ちなんですから」
「……用があるのは俺じゃなくてコッチの方だ」
「どもっす。こうしてちゃんと話すのは初めてっすね。コヤマイシ リオっていうっす」
瞬間、護衛の人が青年に姿を変える。……なるほど、変装技術で忍び込んだのか。大方、情報元は先輩からだろう。
「……で?君は何しに来たの?」
スッと笑顔を消した。でも、それもこの青年……リオには関係ないようだ。
「んー、強いて言うなら宣戦布告っすね。絶対モンダイジ団に戻ってもらうって、団長息巻いてたっすよ」
「君には関係ないでしょ。それとも、さっきまで名前も知らずにいた相手を仲間だって言うつもり?」
「……ま、そういうことになるっすね」
この答えに、俺は息が詰まった。なんで放って置いてくれないんだろうね。この団は。
「全然関わりのない相手でも、仲間だって信じられるくらい、モンダイジ団は居心地がいいんすよ」
……あー、それはちょっと分かる気がするなぁ。
「それを理解しているんすよね?」
……でも、俺の居場所はあそこじゃあない。俺が、キノに拒絶されるよう仕向けたんだ。
「悪いけど、もう帰ってもらうよ」
「は…………ウワッ!」
次の瞬間、リオは廊下に吹っ飛ばされていた。護衛の人がいてくれてよかった。
「思い通りには、させないから」
「……これは、芽吹さんのためでもあります。情報を流されるなんてこと、いくら社長の息子さんでも許すわけにはいきません」
護衛の人は抑揚のない、淡々とした声でそう言った。
「お引き取り願います」