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サイド キノ
「計画が漏れてたぁっ?!」
リオからの報告に俺は思わず声を荒げた。
「明らかにそうとしか思えないっす。俺の変装にも注意していた様子っすから。……多分、今も盗聴されているっす」
なんで、いつ、どうして!
「……ってことは、今までの計画全部実行に移しにくいってこと?」
キリの問いかけにタエが青い顔をしながらも頷いた。
「……」
ダダダダとマオが高速でキーボードを叩く。マスクをつけていても、苛立っていることが滅茶苦茶わかる。……怖え。
『とりあえず、これからは文字で意思疎通するぞ。これも気休め程度にしかならないけど、やらないよりはマシだ』
パソコンの画面に写し出されたのは、そんな文だった。
「…………」
全員の顔を見て、俺はしっかり頷いた。……ん?なんか忘れているような……。
『でも、トキさんは?今仕事の方行っちゃったよ?』
小さく、丸っこい字でタエがノートにそう書き込む。
それだ!トキ、事務所から電話かかってきたから、一回追い出したんだった!大体の計画も立てたし、大丈夫だろ!って思ったんだよなー!!
『メールとかで伝えれば?』
『仕事の邪魔になっちゃうけど、ユズもその方がいいと思う!』
よし、じゃあ俺が……と思ったときだった。
ピロン!と雰囲気に合わない軽快な音が鳴った。一斉に俺たちの肩が跳ね上がる。
「あ……あたくしですわ」
思わず、といった様子でユメが小声で言葉を発する。
「噂をすれば、なんとやら……ですわね」
『差出人:トキ
ごめん、ちょっといいかな?みんな作戦会議で忙しいと思うけど、気になって。
さっきからキノさんの家の近くに、気配を消そうとしている大人が何人かいるんだよね。録画モードで撮っておいたんだけど、この人たちに心当たりあるかな?
添付ファイル:録画画像(無題)』
俺はタエと思わず顔を見合わせた。トキって自分の気配を消すだけでなく、他人の気配にも敏感なんだな。
『……この人たち、見たことありますわ。父の会社の腕が立つ護衛の方ですのよ』
ユメが柔らかい字体でタエの文章の下に書く。
『……どうせなら、この状況を利用してルネって人を取り戻さない?』
アミがスマホにそう打ち込んだ。
その文に、その言葉に、俺はトキ救出作戦を立てたときのルネのニヤケ顔を思い出さずにはいられなかった。