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???「とうとうだね……」???「そうだな」
???「マジで大変だった……」
「紫雲雨花」、「兎白」、「瑠璃人」が来ている場所は、『無法地帯』だった場所。今日は、妖怪たちが仮住居から本来住んでいた場所に戻るところなのだ。そのために様々な手続きや声掛けを行い、その日がとうとう来たのである。
瑠璃人「仮住居を作って、戸籍を作って、協定を改定して……色々あったな」
兎白「改定した協定は「一ヶ月に二回、人間と神側から輸血を行って血を渡す。その代わり、冥府の許可なく血を入手すること。そして、あの世の法律を破ること。それらを禁止とする」……だったな。雫さんがとても早く改定してくれたからまだ完全に安心はできないが、ひとまずは大丈夫だろう」
雨花「わたしもお師匠様の仕事の早さ見習わないとね!」
雨花たちが話していると、
「雨花」
一人の妖怪の老婆が話しかけてきた。
雨花「あっ!あの時のおばちゃん!」
雨花の前にいるのは、雨花が一人で倒した町長の町の住人だった老婆である。
「まさか本当にこんな風に自分たちの慣れ親しんだ場所に帰ってこれるだなんて想ってもみなかった」
雨花「わたしのお師匠様と兎白くんたちが頑張ってくれたおかげです。……やっぱりここの方が落ち着きますか?」
「そうだねぇ……ここは、元々妖怪たちの巣窟だったから私もこの中でしか生きたことがない。今更ここから離れたいとは想えないからね。」
「でも、」
「あんたたちがここまでして、私たちをあの町長から助けて、私たちとの共存を望んでくれている。私たちもなるべく力になりたいとは想ってる」
雨花「あは。ありがとうございます!」
瑠璃人「おい〜雨花!そろそろ町のお披露目会が始まるぞ〜」
雨花「はいはい〜」
町の入口の前では、沢山の人だかりができていた。中にはカメラを持った者もいる。
兎白「今日からはここは、『無法地帯』じゃない。妖怪はもちろんのこと、人間、神も住める。「共存」への第一歩となる町になることを俺は願っています。では……」
「「町開きの始まりです!」」
町の門が開く。妖怪たちが雪崩のように入っていく。
雨花「これから、この町は本当に町らしくなっていくのかな?」
兎白「そのためにも、これからやることは慎重にやっていかないといけないな」
瑠璃人「そうっすね。でも……」
「「今はあの妖怪たちの嬉しそうそうな笑顔を堪能しましょ?」」
兎白「ちなみに町の名前は何になったんだ?」
雨花「それは……」
「「鬼灯町(ほおずきまち)だって!」」
雨花「意味は、あの刑務所から取ったのと同じ意味。そして、暗闇の中の提灯みたいな町にしたいから……だってさ!」
瑠璃人「へぇ……」
雨花、兎白.、瑠璃人も頬みながらその光景をみていた。
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雨花「……って感じで、妖怪の人たち嬉しそうだったよ!」
橙「それは良かったですね」
ここは、冥府。雨花と「不山橙」は休憩に入っていた。橙はお茶を注いでいる。
雨花「でもこれからは、妖怪さんたちのことも取り締まり対象になるし、今までのように自由とはいかないから息が詰まってストレスを溜めちゃう妖怪もいるだろうから、妖怪さんたちのことをみていかないとね。見張るんじゃなくて。」
橙「難しそうですね……」
コンコン
橙「はい、どうぞ!」
雨花「…………」
入ってきたのは……
橙「紅緒さん。何かありましたか?」
紅緒だった。
紅緒「テレビでみました。妖怪たちの町開きの話」
橙「あっ……」
雨花「…………」
紅緒「私は……私は……!妖怪を許すなんて……ましてや共存するなんて……そんなことできない……あいつらは散々人を苦しめたんですよ?私が……間違っているんでしょうか…………こんな風に……いつまでも昔にこだわって……私が……ダメなんでしょうか……」
紅緒は、自分の体を丸めて泣く。
雨花「間違ってないし、ダメでもないよ。紅緒ちゃん。許さなくて良い。無理して許そうだなんてしなくて良い。紅緒ちゃんだけの辛さっていうのがやっぱりあるんだと想う。抱えきれない想いがあるんだと想う。それを投げ出したり、否定する必要はない。大切にして良いんだよ。」
紅緒「でも、それじゃあ……「共存」……できませんよ?「共存」は良いことだと……私も……想います。でも、それを望んでいない私は……悪くて……」
雨花「良いの反対は悪いじゃないよ。沢山の良いが集まるとそれが巨大な荒波になって何かを傷つけて悪いになることだってある。良いの中に悪いが含まれてるし、良い=悪いってこともある。良いが正しいとも限らないし悪いが間違いとも限らない。人によって良いも悪いも正しいも間違いも基準が変わることで意味や価値が反転したり元に戻ったりすることだってある。そういう不確定な要素を持っているから面白い。そんな不確定な要素をこの世もあの世のみんなも持ってる。だから「良い」「悪い」に限らず、「共存」しようと自ら想うことも大切。決して強制しちゃいけないし、されちゃいけない。だから、「共存」が苦しいならそれをやる必要はない。紅緒ちゃんの抱えてるものを大切にすることも大切なんだよ。自分のままでいて良いんだよ。」
紅緒「私は……自分の気持ちを大切にして良い……」
橙「紅緒さんの気持ちを私は暖かく守って欲しいです」
紅緒はしばらく黙ると、雨花たちに向き直った。
紅緒「ありがとうございます。少し、スッキリしました。……私もいつか「共存したい」と想える日が来たら良いなと想います。ありがとうございました」
橙「いえいえ」
雨花「またいつでもおいで〜」
そして、紅緒は退出した。
橙「考え続けないといけませんね……どんなに苦しくても……それしか「共存」する道はないんですから」
雨花「…………そうだね。」
ごめんね
橙ちゃん
わたしには考え続けるという
時間なんていらないんだ
ごめん